これで安心!忙しい相手に聞いてもらうための報連相切り出し方ステップ
新社会人として業務に取り組む中で、上司や先輩に報連相を行う機会は多くあります。しかし、相手が忙しそうにしていると、「今話しかけても大丈夫だろうか」「どのように切り出せばよいか」とためらってしまうことがあるかもしれません。スムーズな報連相は、相手に話を聞いてもらいやすくし、その後のコミュニケーションを円滑に進める上で非常に重要です。ここでは、忙しい相手でも安心して報連相を切り出すための具体的なステップとポイントを解説します。
なぜ報連相の「切り出し方」が重要なのか
報連相は、必要な情報を正確かつタイムリーに伝えることが目的です。しかし、相手が他の業務に集中している時に唐突に話を始めてしまうと、内容が十分に伝わらなかったり、相手の集中を妨げてしまったりする可能性があります。
良い切り出し方ができれば、相手はこれから聞く話の心構えができ、集中して内容を理解しやすくなります。これは、結果的に報連相の効率を高め、誤解を防ぐことにも繋がります。特に忙しい相手への配慮は、信頼関係を築く上でも大切なビジネススキルの一つです。
忙しい相手へのスムーズな報連相切り出しステップ
忙しい相手に話しかける際は、以下のステップを意識することで、相手への配慮を示しつつ、自分の報連相を聞いてもらいやすくなります。
ステップ1:相手の状況をさりげなく確認する
まずは、相手が今、話しかけても大丈夫な状況にあるかを確認します。パソコンに集中している、電話で話している、他の人と打ち合わせをしているなど、明らかに手が離せない状況であれば、少し時間を置くか、改めて声をかけるタイミングを伺います。
席にいる場合でも、すぐに話しかけるのではなく、例えば以下のような言葉で相手の状況を伺うことから始めます。
会話例:
- 「〇〇さん、今少しお時間よろしいでしょうか。」
- 「〇〇さん、少々お伺いしても大丈夫でしょうか。」
このように一声かけることで、相手はこれから話しかけられることを認識し、対応できるか判断できます。
ステップ2:報連相の「概要」と「所要時間」を伝える
「今お時間よろしいでしょうか」と尋ねて相手から「どうぞ」という返事があった際に、すぐに本題に入るのではなく、これから話す内容の簡単な概要と、話にどれくらいの時間がかかるかを伝えます。
これは、相手が話の内容や重要性を瞬時に把握し、今、話を聞くべきか、後回しにすべきかを判断できるようにするためです。特に忙しい相手にとっては、かかる時間が予測できることで、対応しやすくなります。
会話例:
- 「今、〇〇の件で進捗をご報告したいのですが、2〜3分ほどお時間いただけますでしょうか。」
- 「△△のタスクについてご相談したいことがあり、5分程度お時間をいただけると幸いです。」
- 「先日ご依頼いただいた件で、確認したい点があり、恐れ入りますが1分ほどお時間いただけますでしょうか。」
内容の概要は、具体的な詳細ではなく、「〇〇の件について」「△△のタスクについて」のように、相手が何に関する話かを特定できる程度で十分です。
ステップ3:相手に判断を委ねる
ステップ2で概要と所要時間を伝えたら、最後に相手に「今話を進めるか、それとも別の機会にするか」の判断を委ねる言葉を添えます。これにより、相手は自身の状況に合わせて最適な対応を選ぶことができます。
会話例:
- 「もし今お手隙でなければ、ご報告させていただいてもよろしいでしょうか。」
- 「もし今お忙しければ、後ほど改めてお声がけいたしますが、いかがでしょうか。」
- 「お急ぎでなければ、このままお話してもよろしいでしょうか。」
このように選択肢を提示することで、相手は「今すぐ聞く」「後で時間を取る」「別の担当者に確認する」など、最適な方法を選びやすくなります。相手から「今大丈夫です、どうぞ」と言われたら、本題に進みます。もし「今少し立て込んでいるから後でお願い」と言われたら、具体的な時間やタイミングを確認し、改めて報連相を行います。
ツール別の切り出し方
報連相の切り出し方は、対面、電話、チャット、メールなど、使用するツールによっても工夫が必要です。
口頭(対面・電話)での切り出し方
上記のステップ1〜3は、主に口頭での報連相に当てはまります。対面の場合は相手の表情や様子を直接確認できますが、電話の場合は声のトーンや話し方から忙しさを推測する必要があります。
電話での切り出しも同様に、「お忙しいところ恐れ入ります。〇〇の件でご報告したいことがあり、1〜2分ほどお時間いただけますでしょうか。」のように、相手への配慮と内容・所要時間の伝達を意識します。
チャットでの切り出し方
ビジネスチャットでは、相手がメッセージを確認できるタイミングで対応できるため、比較的声をかけやすいツールです。しかし、相手は複数のチャットやタスクを同時に見ている可能性があるため、簡潔さと分かりやすさが重要です。
- 最初のメッセージ: いきなり詳細を書き始めるのではなく、「〇〇さん、△△の件でご相談したい点があります。」のように、まずは用件があることを伝えます。
- 相手からの返信後: 相手から応答があったら、「進捗のご報告で、ご確認いただきたいことが2点ほどあります。」「資料について不明な点があり、ご教示いただきたく、メッセージしました。」のように、もう少し具体的な内容と、必要に応じて「お時間のある時にご対応いただけますと幸いです。」といった言葉を添えます。
- 長くなりそうな場合: チャットでのやり取りが長くなりそうであれば、「詳細はお電話(またはオンライン会議)でお話しさせていただけますでしょうか。〇時頃はいかがでしょうか。」のように、別の手段でのコミュニケーションを提案することも効果的です。
メールでの切り出し方
メールは相手が比較的自分のペースで確認できるツールですが、件名を見ただけで内容や重要度が分かるように工夫が必要です。
- 件名: 【〇〇の件】△△のご報告(所要時間目安:〇分)のように、件名に内容の概要と、必要に応じて対応にかかる時間の目安を入れると、相手はメールを開く優先順位を判断しやすくなります。緊急度が高い場合は【至急】などを追記することもあります。
- 本文冒頭: 挨拶の後、メールの目的と要点を最初に伝えます。「〇〇の件につきまして、現在の状況をご報告いたします。」「△△に関するご相談があり、ご連絡いたしました。」のように、すぐに何のメールか分かるように記述します。その上で、詳細な情報を記述していきます。
よくある疑問
- 「今お時間よろしいでしょうか」と聞いて「ありません」と言われたら? 正直に「ありません」と返答があることは、相手が自身の状況を正確に伝えてくれたということであり、むしろ好ましい対応です。その場合は、慌てずに「承知いたしました。改めて〇時頃(または明日午前中など)に改めてお声がけさせていただいてもよろしいでしょうか。」のように、具体的な代替案を提示して確認します。相手から別の時間を指定される場合もありますので、それに従います。
- 話したいことの「所要時間」が正確に分からない場合は? 大まかで構いませんので、予測される時間を伝えます。少し長めに伝えておくと、時間内に収まった場合に相手に良い印象を与えやすいかもしれません。「おそらく5分〜10分程度になるかと存じます」のように幅を持たせて伝えることも可能です。話しながら時間がかかりそうだと分かった場合は、「恐れ入ります、もう少しだけお時間いただけますでしょうか。」のように、途中で確認することも必要です。
- 緊急の報連相の場合は? 緊急の場合は、相手の状況を確認するステップを短縮し、緊急度を伝える言葉を加えて切り出します。「〇〇さん、申し訳ありません、至急ご相談したいことがございます。」のように、緊急であることを明確に伝えます。ただし、緊急度の判断は慎重に行う必要があります。不必要に「至急」を連発すると、本当に重要な報連相の際に相手に響かなくなる可能性があります。
まとめ
忙しい相手への報連相の切り出し方は、相手への配慮を示すとともに、自分の話を聞いてもらいやすくするための大切なスキルです。「今お時間よろしいでしょうか」と尋ねるだけでなく、報連相の概要と所要時間を伝え、相手に判断を委ねるステップを踏むことで、よりスムーズなコミュニケーションが可能になります。
これらのステップやフレーズ例を参考に、日々の報連相で実践してみてください。場数を踏むことで、相手の状況を判断する力や、状況に応じた適切な言葉選びが身につき、自信を持って報連相できるようになるはずです。