「どう進めますか?」をスムーズに伝える!指示・依頼後の最初の報連相
指示や依頼を受け、いざ業務に取り組もうとした際に、「これで合っているだろうか」「どこまで自分で考えて進めて良いのか」と立ち止まることは少なくありません。特に、具体的な進め方について細かな指示がない場合、最初の段階で適切な報連相を行うことが、手戻りを防ぎ、業務をスムーズに進めるために重要になります。
ここでは、指示や依頼を受けた後、実際に作業を開始する前の「最初の報連相」に焦点を当て、どのように考え、誰に、何を、どのように伝えるべきかをステップ形式で解説します。
なぜ最初の報連相が大切なのか
指示や依頼を受けた後、最初の一歩を踏み出す前に報連相を行うことには、主に二つの目的があります。
- 目的・方向性の確認: 指示の背景や最終的なゴールについて、自分の理解と相違がないかを確認できます。これにより、見当違いな方向に進んでしまうリスクを減らせます。
- 認識のすり合わせと手戻り防止: どのように進めるか、どの情報が必要か、誰に協力を仰ぐかなど、自分なりの進め方を共有し、指示者からのアドバイスや懸念点を確認できます。早い段階で認識をすり合わせておくことで、後々の大きな手戻りを防ぐことができます。
この最初の報連相は、必ずしも詳細な計画を伝える必要はありません。あくまで、大まかな方向性や、業務を進める上で確認が必要な事項について、指示者と認識を合わせるためのものです。
指示・依頼を受けた後の最初の報連相ステップ
指示や依頼を受けてから最初の報連相を行うまでの基本的なステップは以下の通りです。
ステップ1:指示内容の整理と自分なりの検討
まずは受けた指示や依頼の内容を自分の中で整理します。
- 目的: この業務は何のために行うのか?
- ゴール: 何が達成されれば完了となるのか?
- 期日: いつまでに完了させる必要があるのか?(もし曖昧なら確認が必要です)
- 必要なもの: 業務を進める上で必要な情報、ツール、他者の協力は何か?
- 想定される進め方: どのように業務を進めるのが効率的か?いくつか方法が考えられるなら、それぞれのメリット・デメリットは?
この段階で、指示者が想定している進め方や、自分が疑問に思う点、確認が必要な点が見えてきます。自分で考えた「仮説」や「疑問点」を明確にしておくことが、次のステップの準備となります。
ステップ2:報連相の準備(確認事項・相談内容の整理)
ステップ1で整理した内容に基づき、報連相で伝えるべきこと、確認したいことを具体的に整理します。
- 確認したいこと:
- 業務の目的やゴールの理解に間違いがないか?
- 想定している期日で問題ないか?
- 自分なりの進め方(最初のステップや大まかな流れ)について、指示者からのアドバイスが必要か?
- 業務に必要な情報やツールについて、どのように入手・活用すれば良いか?
- 誰か他の人に協力を依頼する必要があるか?その場合の進め方?
- 相談したいこと:
- 複数の進め方が考えられる場合、どの方法が良いか?
- 過去に似たような事例がないか?
- 業務を進める上での懸念点やリスクについて。
これらの確認事項や相談内容を、簡潔に伝えられるようにまとめておきます。口頭で伝える場合は、メモ書き程度で構いません。メールやチャットで伝える場合は、箇条書きなどを活用すると分かりやすくなります。
ステップ3:報連相の実行(いつ、誰に、どう伝えるか)
準備ができたら、実際に報連相を行います。
- いつ: 指示を受けてから、自分で整理・検討し、確認事項がまとまった段階でなるべく早く行います。ただし、指示者が他の対応で手一杯な状況であれば、少し時間を置くなど配慮が必要です。難しい場合は、「〇〇の件で、少しお時間をいただけますでしょうか」と声をかけて相手の状況を確認することも大切です。
- 誰に: 基本的には指示・依頼をしてくれた人に報連相します。
- どのように: 伝える内容や緊急度に応じて、口頭、チャット、メールなどの適切な手段を選びます。最初の簡単な確認であれば口頭やチャットがスムーズなことが多いです。
会話例:口頭での報連相
(上司が少し手が空いてそうなタイミングを見計らって)
自分:「〇〇さん、今少々お時間よろしいでしょうか。」
上司:「はい、どうぞ。」
自分:「先ほどご指示いただきました△△の件について、着手する前にいくつか確認させていただけますでしょうか。」
上司:「はい、何でしょうか。」
自分:「ありがとうございます。まず、この業務の目的は〇〇〇〇(自分の理解している目的)という認識で合っておりますでしょうか。」
上司:「ええ、その認識で大丈夫です。」
自分:「ありがとうございます。進め方についてなのですが、まずは××の情報を集め、その後、□□といった手順で進めようと考えております。この方向性で問題ございませんでしょうか。」
上司:「なるほど、△△の点も考慮すると、先にY社のデータも確認しておくと良いかもしれませんね。」
自分:「Y社のデータですね、承知いたしました。確認してみます。期日は〇月〇日でよろしいでしょうか。」
上司:「はい、その期日でお願いします。」
自分:「承知いたしました。ありがとうございます。それでは、まずはご指示いただいた内容と今確認させていただいた点を踏まえて着手いたします。不明な点が出てきましたら、改めてご相談させていただきます。」
上司:「お願いします。」
会話例:チャットでの報連相
件名:△△の件について(〇〇より)
〇〇さん
お世話になっております。
先ほどご指示いただきました△△の件について、着手する前にいくつか確認させていただけますでしょうか。
現状、以下のように理解しております。
・業務目的:〇〇〇〇
・期日:〇月〇日
進め方としては、まずは××の情報を集め、その後□□といった手順で進めようと考えております。
この目的や進め方について、認識に相違がないか、また何か注意すべき点などございますでしょうか。
お忙しいところ恐縮ですが、ご確認いただけますと幸いです。
よろしくお願いいたします。
簡潔に、目的、期日(自分の認識)、想定している最初の進め方(または確認したい点)を伝えることがポイントです。
ステップ4:指示・アドバイスの確認と記録
報連相で指示者から受けたアドバイスや確認事項を、その場でしっかりと理解します。必要であればメモを取り、後で自分で確認できるように記録しておきます。メールやチャットでのやり取りは記録として残るため、後で見返すことができます。口頭でのやり取りの場合は、後で自分のメモを清書したり、改めてチャットで「先ほどご指示いただいた件、以下のように理解いたしました。改めてご確認いただけますと幸いです。」といった形で確認メッセージを送ることも有効です。
よくある疑問と対応策
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指示が曖昧で、どう進めれば良いか全く分からない場合
- ステップ1で自分なりに考えた「分からない部分」「考えられる選択肢」を整理します。
- ステップ2で、「〇〇の部分が理解できておりません」「△△という進め方も考えられますが、どちらが良いでしょうか」など、具体的に何が分からず、何を尋ねたいのかを明確にします。
- ステップ3で、「恐縮ですが、△△の点についてもう少し詳しくご説明いただけますでしょうか」のように、分からない点を具体的に質問します。自分で調べられることは事前に調べておく努力も見せると、よりスムーズなコミュニケーションにつながります。
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上司がいつも忙しそうで話しかけづらい場合
- まずはチャットやメールで「〇〇の件で、確認したい点があるのですが、ご都合の良い時間はございますでしょうか」とアポイントを取ることから始めます。
- どうしてもすぐに確認が必要な場合は、「大変恐縮ですが、至急ご確認いただきたい点がございまして」と前置きをし、手短に要件を伝えます。同時に、簡潔に伝えられるように準備をしっかりしておきます。
- また、自分だけで判断できる範囲を日頃から上司とすり合わせておくことも、不要な報連相を減らすために有効です。
まとめ
指示や依頼を受けた後の「最初の報連相」は、業務の目的や方向性を確認し、手戻りを防ぐための重要なプロセスです。指示内容を自分なりに整理・検討し、確認したい点や相談したい点を明確にしてから、適切なタイミングと手段で報連相を実行します。曖昧な指示や上司が忙しい場合でも、事前に準備をしっかり行うことで、スムーズなコミュニケーションが可能になります。このステップを実践することで、自信を持って業務に着手できるようになるでしょう。