「報告」「連絡」「相談」迷わない!新社会人のための目的別使い分けと判断ステップ
新社会人の皆さん、日々の業務で「これって報告?」「いや、連絡で済むかな?」「もしかして相談すべきこと?」と迷うことはありませんか。報連相はビジネスにおける基本中の基本ですが、それぞれに目的があり、伝えるべき内容も異なります。これらを混同してしまうと、相手に意図が正確に伝わらず、業務に支障が出たり、手戻りが発生したりする可能性があります。
この記事では、「報告」「連絡」「相談」それぞれの違いと、状況に応じて適切に使い分けるための判断ステップを解説します。報連相の目的を明確にすることで、自信を持ってスムーズなコミュニケーションができるようになります。
報連相を構成する3つの要素:目的と内容
「報告」「連絡」「相談」は、それぞれ異なる目的と伝えるべき内容を持っています。まずはそれぞれの基本的な考え方を見ていきましょう。
報告:業務の状況や結果を伝える
- 目的: 業務の進捗状況、結果、判明した事実などを、上司や関係者に共有し、把握してもらうこと。完了したこと、問題が発生したことなど、起きたこと・分かったことを伝えるのが主な目的です。
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伝えるべき基本的な内容:
- 何についての報告か(件名や対象タスク)
- どのような状況か、何が起きたか(事実、経過)
- どのような結果になったか(完了、未完了、問題発生など)
- 必要であれば、今後の見込みや対応案
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会話例(上司への報告)
「〇〇部長、先日ご指示いただいた△△に関する報告です。」 「仕様書を作成し、本日午前中に〇〇さんへ共有が完了いたしました。」 「添付資料をご確認いただけますでしょうか。不明点等ございましたら、お申し付けください。」
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ポイント: 事実を正確かつ簡潔に伝えることが重要です。主観や感情は基本的に含めません。
連絡:知っておいてほしい情報を伝える
- 目的: 関係者間で必要な情報を共有し、共通認識を持つこと。特定の行動を促したり、注意を喚起したりする場合もあります。決まったこと、変更になったこと、共有すべき情報を伝えるのが主な目的です。
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伝えるべき基本的な内容:
- 何の連絡か(件名)
- 具体的に伝える情報(日時、場所、変更点、決定事項など)
- いつまでに、何をすべきか(必要な行動、期日など)
- 連絡元、担当者
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会話例(チームへの連絡)
「皆さんにご連絡です。来週月曜日の定例ミーティングですが、会場が3階会議室に変更になりました。」 「開始時刻は10時のまま変更ございません。」 「お間違えのないよう、お願いいたします。」
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ポイント: 誰に、何を、いつまでに知ってほしいのかを明確に伝える必要があります。伝達漏れがないように注意が必要です。
相談:判断やアドバイスを求める、意見交換する
- 目的: 自分で判断できないこと、迷っていること、困っていることについて、上司や先輩、同僚に意見やアドバイスを求め、問題解決や意思決定に繋げること。どうすれば良いか分からない、一人で判断できないという状況で利用します。
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伝えるべき基本的な内容:
- 何の相談か(件名、対象タスク)
- 現在の状況や課題(何に困っているのか)
- 自分なりに考えたことや試したこと
- 具体的に何について判断・アドバイスが欲しいのか(〇〇について教えていただきたい、△△すべきかご判断いただきたい、といった明確な問いかけ)
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会話例(先輩への相談)
「〇〇先輩、今少しよろしいでしょうか。」 「先ほどお客様から、契約内容についてA案とB案のどちらが良いか判断を求められています。」 「私としては、〇〇の理由からA案が良いと考えているのですが、過去の事例や会社の方針を踏まえるとどちらが良いか、先輩のご意見を伺いたいです。」
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ポイント: 課題の現状と、自分なりの考えや分からない点を具体的に伝え、相手に何をしてほしいかを明確に依頼することが重要です。
「報告」「連絡」「相談」迷わないための判断ステップ
目の前のタスクや状況について、これが「報告」「連絡」「相談」のどれに当たるのか迷った場合、以下のステップで考えてみましょう。
Step 1: まず「何について」「なぜ伝えたいのか」を考える
最初に、何を伝えたいのか、そしてなぜそれを伝える必要があるのかを自分自身に問いかけます。
- 例:「〇〇の資料が完成した」という事実を伝えたい。
- 例:「来週の会議時間が変更になった」という情報を共有したい。
- 例:「この作業の進め方が分からない」という問題を解決したい。
Step 2: 「相手にどうしてほしいか」を考える
次に、その情報を伝えることで、相手にどのように行動してほしいか、あるいはどういう状態になってほしいかを具体的に考えます。
- 「〇〇の資料が完成した」ことを伝えるのは、「資料が完成した事実を知っておいてほしい(把握してほしい)」から → 報告の可能性が高い
- 「来週の会議時間が変更になった」ことを伝えるのは、「会議時間の変更を知って、間違った時間に来ないようにしてほしい(共通認識を持ってほしい)」から → 連絡の可能性が高い
- 「この作業の進め方が分からない」ことを伝えるのは、「進め方を教えてほしい、あるいは一緒に考えて判断してほしい(問題解決のための助けがほしい)」から → 相談の可能性が高い
このように、相手に「把握してほしい(インプット)」「共通認識を持ってほしい(周知・確認)」「判断・助言がほしい(アウトプット)」という3つの方向で考えると、どれに該当するのかが見えてきます。
- 報告: 相手に事実を「知ってもらう」「把握してもらう」ことが主目的。
- 連絡: 相手に特定の情報を「共有する」「周知する」ことが主目的。
- 相談: 相手から「判断」「アドバイス」「指示」といった「何か行動や回答」を求めることが主目的。
Step 3: 伝える情報の中身を確認する
目的と合わせて、伝える情報の中身がそれぞれの要素に合っているかを確認します。
- 報告: 事実や結果が中心か? 主観的な意見や感情は含まれていないか?
- 連絡: 共有すべき客観的な情報か? 誰に、何を、いつまでに伝えるべき情報か?
- 相談: 困っていること、分からないこと、自分なりに考えたこと、そして具体的に何について助けが欲しいかが明確か?
このステップを踏むことで、報連相の目的が明確になり、伝えるべき内容も整理されます。
具体的な場面での使い分け例
いくつかの具体的な場面で、報連相の使い分け方を考えてみましょう。
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例1:担当しているタスクで、想定外のエラーが発生した
- 何について/なぜ伝えたい? エラーが発生した事実と、その影響について。業務が進められない状況だから。
- 相手にどうしてほしい? この状況を知って把握しておいてほしい。今後どう進めるか、あるいは誰かに協力してもらうか、判断や指示がほしいかもしれない。
- 判断: エラー発生という事実を伝える必要があり、状況を把握してもらう必要があるため、まずは報告が必要です。さらに、そのエラーによって作業が止まり、自分で解決できない場合は、今後の対応について判断や指示を仰ぐために相談も必要になります。この場合、「〇〇の作業でエラーが発生しました。原因は△△と考えられます。現在作業がストップしています。今後の対応についてご相談させていただけますでしょうか。」のように、報告と相談を組み合わせて伝えるのが一般的です。
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例2:社内システムのリニューアルで、ログイン方法が変更になった
- 何について/なぜ伝えたい? ログイン方法の変更という情報。関係者全員が新しい方法でログインできるようにするため。
- 相手にどうしてほしい? 新しいログイン方法を知り、今後はその方法でログインしてほしい。
- 判断: 関係者全体に共有し、共通認識を持ってもらうべき情報です。これは連絡に当たります。「システムリニューアルに伴い、ログイン方法が変更になりました。新しい手順は〇〇です。ご確認ください。」のように伝えます。
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例3:上司から依頼された業務の進め方に迷っている
- 何について/なぜ伝えたい? 業務の進め方が分からず困っている状況。適切な方法で業務を遂行したいから。
- 相手にどうしてほしい? 適切な進め方についてアドバイスや指示がほしい。
- 判断: 自分で判断できない状況であり、相手からのアドバイスや指示を求めています。これは相談に当たります。「〇〇の件ですが、進め方がいくつか考えられ、どちらが良いか判断に迷っております。△△と□□の方法があるかと考えているのですが、過去の事例や今後のことを踏まえると、どちらが良いかご教示いただけますでしょうか。」のように、状況と自分の考えを伝えた上で、具体的に何について助けが欲しいかを明確にします。
よくある間違いと対策
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報告なのに、自分の感想や意見ばかりになってしまう
- 事実と意見を混同すると、何が客観的な情報なのかが伝わりにくくなります。
- 対策: まず「何が実際に起きたか、どうなったか」という事実だけを切り出して伝えましょう。その後に「私としてはこのように考えます」のように、意見である旨を明確にしてから付け加えるように意識します。
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相談なのに、現状の説明が不足している
- 「〜が分かりません」「〜できません」という一言だけでは、相手は何に困っているのか、どの段階で躓いているのかが分かりません。
- 対策: 「〇〇のタスクの△△の部分で、□□という状況になり、困っています」「なぜなら、〜だからです」のように、具体的な状況、困っている点、理由をセットで説明しましょう。
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連絡事項に、必要な情報(日時、場所など)が抜けている
- 受け取った側が「結局、いつ?」「どこで?」と再度確認する必要が生じ、二度手間になります。
- 対策: 連絡する前に、「この連絡で、受け取った人がすぐに理解し、必要な行動が取れるか?」という視点で、必要な情報が全て含まれているかチェックリストのように確認する習慣をつけましょう。
まとめ
「報告」「連絡」「相談」は、それぞれ異なる目的と役割を持っています。これらの違いを理解し、状況に応じて適切に使い分けることは、円滑なコミュニケーションと業務遂行のために非常に重要です。
迷ったときは、「何を伝えたいか」「なぜ伝えたいか」「相手にどうしてほしいか」という3つの視点で考えることで、それが報告なのか、連絡なのか、相談なのかを判断しやすくなります。
使い分けは、すぐに完璧にできるものではありません。日々の業務の中で意識し、実践を重ねることで徐々に慣れていきます。もし判断に迷うことがあれば、一人で抱え込まず、まず先輩や上司に「これは報告で良いでしょうか?」「この件、〇〇さんにご連絡しておけば良いですか?」のように確認してみることも有効な「相談」の一つです。
報連相の目的を意識して、自信を持って取り組んでいきましょう。