「伝えたのに伝わってない」をなくす!新社会人のための報連相後の確認ステップ
はじめに
社会人として仕事を始めると、「報連相(報告・連絡・相談)」が非常に重要であることを日々感じていることと思います。しかし、「自分はきちんと伝えたはずなのに、相手には伝わっていなかった」「後になって、内容が間違って伝わっていたことが分かった」という経験をしたことはないでしょうか。
これは、報連相が単に「伝える」だけで完結するものではなく、「伝わったか」を確認することが不可欠であるためによく起こります。特に社会人経験が少ないうちは、適切な伝え方や確認の仕方が分からず、不安を感じることもあるかもしれません。
この記事では、報連相の内容が相手に正しく伝わっているかを確認するための具体的なステップと、すぐに使えるフレーズをご紹介します。この記事を読むことで、報連相後の「伝わってない」を防ぎ、安心して業務を進めるためのヒントを得ることができるでしょう。
なぜ報連相の「伝達確認」が必要なのか
報連相の目的は、情報を共有し、業務を円滑に進めることです。しかし、情報が正確に伝わらなければ、その目的は達成できません。
- 誤解を防ぐ: 伝える側と受け取る側で、同じ情報でも解釈が異なることがあります。「〇〇をお願いします」と伝えても、「〇〇のどこまでを、いつまでに、どういう方法でやるのか」といった詳細がずれてしまう可能性があります。伝達確認を行うことで、こうした解釈のずれや誤解を防ぐことができます。
- 手戻りをなくす: 誤解や情報不足のまま業務を進めてしまうと、後になってやり直しが発生し、時間や労力が無駄になります。早い段階で確認を行うことで、手戻りを最小限に抑えられます。
- 信頼関係を築く: 報連相が正確に行われると、周囲からの信頼を得やすくなります。「この人に頼めば、きちんと伝わる」「抜け漏れがない」という安心感は、チーム全体の生産性向上にも繋がります。
報連相は「伝えて終わり」ではなく、「相手に伝わり、理解されたか」を確認して初めて完了すると考えることが大切です。
伝達確認の基本
報連相の伝達確認は、大きく分けて二つの側面があります。
- 伝える段階での工夫: 相手が理解しやすいように、情報を整理して伝える努力をします。結論から先に述べる、5W1H(いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように)を意識するなど、聞き手・読み手にとって分かりやすい伝え方を心がけます。
- 伝えた後の確認: 相手が内容を正しく理解したか、不明な点はないかを確認する問いかけをします。これが、これからご紹介する「伝達確認ステップ」の中心となります。
伝達確認を行うタイミング
伝達確認は、報連相の直後に行うのが最も効果的です。
- 口頭での報連相: 話し終わった直後に「〇〇という内容で、△△を明日までに進めるということでよろしいでしょうか?」のように、要点を繰り返して確認します。
- ビジネスチャットでの報連相: メッセージを送信した後、返信を待ちます。返信が遅い場合や、内容についての言及がない場合は、改めて確認のメッセージを送ることも検討します。
- ビジネスメールでの報連相: 送信後、返信を待ちます。重要な内容で急ぎの場合は、メールを送った旨を口頭やチャットで伝えることもあります。返信がない場合や、内容確認の依頼に対する応答がない場合は、期日を決めて返信をお願いするなどの対応が必要になります。
相手の状況や報連相の内容の重要度に応じて、確認の方法や頻度を調整することが重要です。
具体的な伝達確認ステップとフレーズ
ここでは、具体的な確認のステップと、すぐに使えるフレーズをご紹介します。
ステップ1:相手が内容を理解できる伝え方をする
これは確認以前の基本ですが、報連相をする際には、相手が集中できるタイミングを選び、内容を簡潔かつ明確に伝える準備をしましょう。
- 結論を先に: 最も伝えたいこと、相手に何をしてほしいかを最初に伝えます。
- 情報を整理: 事実、自分の意見や考え、確認・相談したい点を明確に区別します。
- 専門用語は避ける: 相手に馴染みのない言葉は使わない、あるいは補足説明を加えます。
ステップ2:理解度を確認する問いかけをする
報連相の内容を伝え終えた後、相手に内容が伝わったか、理解に齟齬がないかを確認するための問いかけを行います。
【口頭で報連相した場合のフレーズ例】
- 報告・連絡の後:
- 「〇〇についてご報告いたしました。ご確認いただけますでしょうか?」
- 「上記の内容で、何かご不明な点はございますか?」
- 「〇〇の件、これでよろしいでしょうか?」
- 指示・依頼を受けた後(復唱とセットで):
- 「はい、承知いたしました。〇〇を△△までに進める、という理解で合っておりますでしょうか?」
- 「△△の資料作成ですね。承知いたしました。内容はこちらの認識で相違ないか、ご確認いただけますでしょうか?」
- 「恐れ入ります、念のため確認させてください。△△の件ですが、〜〜という理解で間違いありませんでしょうか?」
【ビジネスチャットやメールで報連相した場合のフレーズ例】
- 報告・連絡のメッセージに含める:
- 「〇〇についてご報告いたします。お目通しいただけますと幸いです。」
- 「△△の件、現状についてご連絡いたしました。ご確認をお願いいたします。」
- 「上記の内容で、問題がないかご確認いただけますでしょうか?」
- 指示・依頼を受けた後(返信に含める):
- 「〇〇の件、承知いたしました。△△をいついつまでに完了する、という理解で進めてよろしいでしょうか?」
- 「ご指示ありがとうございます。資料作成について、〜〜の内容で進める認識でおります。ご確認いただけますでしょうか?」
これらのフレーズは、相手に「内容を改めて考えて確認する」機会を与えます。「分かりましたか?」と直接聞くよりも、「〜という理解で合っていますか?」と自分の理解を確認する形の方が、相手も答えやすく、丁寧に聞こえます。
ステップ3:相手からの応答を受け、必要に応じて補足・修正する
相手からの返答によって、内容が正しく伝わっているか、あるいは誤解が生じているかが分かります。
- 正しく伝わっていた場合: 相手が内容を正確に把握していることが分かれば、安心して次のアクションに移れます。
- 応答がない、あるいは曖昧な場合: 内容が伝わっていない可能性があります。「恐れ入ります、先ほどの件、ご確認いただけましたでしょうか?」など、改めて確認を促すメッセージを送るか、別の手段で確認を試みます。
- 誤解があった場合: 相手の誤解している点を丁寧かつ具体的に修正します。「失礼いたしました。私の説明が不足しておりました。△△の部分は〇〇ではなく〜〜です。」のように、相手を責めるのではなく、自身の伝え方に配慮が足りなかった可能性に触れつつ、正しい情報を伝えます。
ステップ4:確認の記録を残す(必要に応じて)
重要な報連相や、口頭でのやり取りの後に確認した内容は、後から見返せるように記録を残すことが有効です。議事録、日報、チャットでのやり取りなどが記録となります。
- 口頭で確認した内容を、その後のメールやチャットで改めてまとめて送る(例:「本日の口頭でのご指示について、改めて下記にまとめました。ご確認をお願いいたします。」)。
相手への配慮も忘れずに
伝達確認は重要ですが、相手が非常に忙しい時や、緊急度の低い内容の場合は、確認の頻度や表現に配慮が必要です。
- 簡潔に: 確認の問いかけも、要点を絞って簡潔に行います。
- 相手の状況を推し量る: 相手が会議中や他の対応で手一杯の時は、少し時間をおいてから確認するなど、配慮が必要です。
- 「お忙しいところ恐れ入りますが…」を添える: 相手に負担をかけないよう、クッション言葉を使います。
よくある疑問と回答
Q: 何度も確認するのは失礼ではないでしょうか?
A: 内容の重要度や相手の関係性にもよりますが、単に何度も「分かりましたか?」と聞くのは失礼に当たる可能性があります。しかし、この記事でご紹介したような「〜という理解で合っておりますでしょうか?」のように、自分の理解を確認する丁寧な聞き方であれば、真剣に業務に取り組んでいる姿勢として好意的に受け止められることが多いです。特に新社会人のうちは、確認を怠ってミスをするよりも、丁寧に確認して正確に進めることの方が重要視されます。
Q: 忙しい上司にどう確認すれば良いですか?
A: 口頭で話しかけるタイミングを見計らうことが重要です。席を立った時や、一息ついているようなタイミングを狙います。「少々よろしいでしょうか」と声をかけ、許可を得てから簡潔に伝えます。もし難しければ、メールやチャットで「お忙しいところ恐れ入ります。〇〇の件、ご確認いただけますでしょうか。本日中にご回答いただけますと幸いです。」のように、確認したい内容と回答希望期日を明確に伝えておくことも有効です。
Q: チャットで「承知しました」と来た場合、どこまで確認が必要ですか?
A: 内容によります。「承知しました」だけでは、具体的に何を、どのように承知したのかが不明確な場合があります。特に、指示や依頼内容が複雑な場合や、複数の情報を含む場合は、「ありがとうございます。〇〇を△△までに進めるということで、改めて認識いたしました。この内容で進めて問題ありませんでしょうか?」のように、具体的な内容を繰り返して確認するとより確実です。ただし、定型的な連絡など、内容が非常にシンプルで誤解の余地が少ない場合は、「承知しました」の応答で十分なこともあります。
まとめ
報連相において、「伝える」ことと同じくらい、あるいはそれ以上に「伝わったか」を確認することは重要です。特に新社会人のうちは、経験不足からくる認識のずれや誤解が生じやすい可能性があるため、丁寧な伝達確認を心がけることが、ミスや手戻りを減らし、周囲からの信頼を得るための有効な手段となります。
この記事でご紹介したステップやフレーズを参考に、報連相の後に一歩踏み込んだ確認を行う習慣をつけてみてください。実践を重ねることで、より自信を持って報連相に取り組めるようになるはずです。