報連相は伝えて終わりじゃない!新社会人のための相手が「次に何をするか」を意識した伝え方
報連相は「伝えて終わり」ではない
新社会人として、上司や先輩に業務の状況や進捗を報告したり、困ったことを相談したりすることは、大切な業務の一部です。報連相をすることで、仕事が円滑に進み、ミスを防ぐことにもつながります。
しかし、報連相は単に「事実を伝える」だけで十分でしょうか。例えば、「〇〇の作業が終わりました」という報告を聞いた上司は、次に何をすればよいか、その情報だけで判断できるでしょうか。
報連相の本当の目的は、情報を共有することで、関係者が次に取るべき行動を決めたり、適切な判断を下したりできるようにすることです。特に上司への報連相では、「この報告や連絡を受けて、上司は何を考え、次にどんな行動をとるだろうか」という視点を持つことが非常に重要になります。
この記事では、新社会人が報連相をする際に、単に情報を伝えるだけでなく、相手(特に上司)が次の行動や判断をしやすくなるように工夫して伝える方法をステップバイステップで解説します。
なぜ「相手が次に何をするか」を意識する必要があるのか
報連相は、自分一人で完結するものではありません。必ず相手がいます。そして、その相手はあなたが伝えた情報をもとに、何らかの判断をしたり、次の指示を出したり、他の人に情報を伝えたりする可能性があります。
例えば、タスクの進捗を報告する際に、「〇〇まで終わりました」とだけ伝えると、上司は「それは計画通りか」「問題はないか」「次にあなたは何をするのか」といった情報を別途確認する必要が生じるかもしれません。
しかし、「〇〇の作業が計画通り完了し、次に△△の作業に取りかかります。特に問題はありません」と伝えることで、上司は進捗状況を把握し、特に指示を出す必要がないと判断できます。このように、相手が必要とするであろう情報を先回りして提供することで、相手の手間を省き、業務全体をスムーズに進めることができます。
相手が判断・行動しやすくなる報連相の3つのポイント
相手が次に何をすべきか判断しやすくなる報連相には、主に以下の3つのポイントが含まれていると効果的です。
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現在の状況を正確に伝える
- 何が起きているのか、どこまで進んでいるのか、具体的な事実を正確に伝えます。
- 可能であれば、数値やデータなど、客観的な情報を含めます。
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自分が考えられる選択肢や、次に自分がやろうとしていることを伝える
- その状況を受けて、自分なりに考えた解決策や、次に自分が取り組もうと思っていることを提示します。
- なぜそのように考えたのか、簡単な根拠や理由も添えると、相手はあなたの思考プロセスを理解しやすくなります。
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相手に「どうしてほしいか」を明確に伝える
- 報告なのか、承認を得たいのか、判断を仰ぎたいのか、指示が欲しいのかなど、報連相を通じて相手に求める具体的な行動を伝えます。
- これにより、相手は何のためにこの報連相を受けているのかが明確になり、スムーズに対応できます。
この3つのポイントを意識して報連相を組み立てることで、相手は状況を理解し、あなたの考えを把握し、そしてあなたに何をフィードバックすればよいかが明確になります。
相手の「次」を意識した報連相のステップ
具体的な報連相の場面を想定して、ステップで考えてみましょう。
ステップ1:状況を整理する まず、報告・連絡・相談したい内容について、現在の状況を正確に整理します。 * 何が起きていますか?(事実) * どのような問題や課題がありますか?(問題点) * どこまで進んでいますか?(進捗) * いつまでに何を完了させる必要がありますか?(期日)
ステップ2:考えられる次のアクションを整理する 現在の状況を踏まえて、次に取るべき行動について考えます。 * 自分自身で判断し、進めても良いことですか? * いくつか選択肢がある中で、どれが良いか迷っていますか? * 自分には判断する権限や知識がなく、相手に判断してもらう必要がありますか? * 解決のために、誰かの協力が必要ですか?
ステップ3:相手に伝える内容を構成する ステップ1とステップ2で整理した内容をもとに、相手に伝える順序と内容を構成します。相手が短時間で内容を理解し、次に何をすべきか判断できるよう、一般的には以下の順序が効果的です。
- 結論・要件を先に伝える:
- 「〇〇の件でご報告・ご相談です。」
- 「〇〇の件について、△△の件で判断を仰ぎたくご連絡いたしました。」
- 現在の状況を具体的に説明する:
- 「現在、〇〇の作業を進行中ですが、△△の課題が発生しています。」
- 「予定していた手順で進めようとしたところ、◇◇という状況であることが分かりました。」
- 自分が考えた次のアクションや選択肢を提示する:
- 「この状況を踏まえ、□□のように対応するのが良いかと考えております。理由は、〜です。」
- 「対応策としてA案とB案が考えられます。A案は〜、B案は〜です。」
- 「自分では判断が難しいため、いくつか考えられる選択肢を挙げさせていただきました。」
- 相手に求める具体的な行動を伝える:
- 「つきましては、□□の対応で進めてもよろしいでしょうか。」(承認・許可)
- 「A案とB案のどちらが良いか、ご判断いただけますでしょうか。」(判断依頼)
- 「この件について、今後の進め方についてご指示いただけますでしょうか。」(指示依頼)
- 「この情報について、念のためご共有させていただきます。」(単なる報告)
ステップ4:相手の状況や関係性を考慮して伝える 実際に報連相を行う際は、相手が今忙しいか、会議中かといった状況や、相手との関係性(上司、先輩、他部署など)も考慮します。 * 忙しそうな場合は、まず「今少々お時間よろしいでしょうか」と尋ね、簡潔に要件を伝えるか、改めて時間を設けてもらうようにします。 * 相手が求めるであろう情報の詳細度を考えます。役職の高い上司には結論と要点のみを簡潔に、一緒に作業する先輩には詳細な情報を提供するなど、相手に合わせて情報の粒度を調整します。
具体的な会話例
場面:担当タスクの進行中に予期せぬ問題が発生し、どう進めるか判断に迷っている場合
自分「〇〇さん、今少々お時間よろしいでしょうか。」
上司「はい、どうぞ。」
自分「△△の資料作成の件でご相談がございます。」(結論・要件)
自分「現在、集計に必要なデータのうち、一部が不足していることが分かりました。具体的には、先週分の売上データのうち、◇◇支店の分が見当たりません。」(現在の状況)
自分「このままでは期日の◇月◇日までに資料を完成させることが難しい状況です。対応策として、考えられるのは二つございます。一つは、◇◇支店に直接データの提供をお願いすること。もう一つは、不足分は仮のデータで代用し、後日正式なデータが入手でき次第差し替えるという方法です。◇◇支店に直接依頼する場合、返信に時間がかかる可能性があり、期日に間に合わない懸念があります。仮データを使用する方法であれば期日は守れますが、一旦不正確な情報で資料を作成することになります。」(考えられる次のアクション・選択肢)
自分「つきましては、期日厳守を優先して仮データで進めるか、正確性を期して◇◇支店へ問い合わせるか、ご判断いただけますでしょうか。」(相手に求める具体的な行動)
上司「なるほど。正確性が重要だから、多少遅れても◇◇支店に問い合わせてみましょう。期日は〇月〇日までに調整できないか、先方と調整します。問い合わせは△△さんの方からできますか?」
自分「はい、承知いたしました。◇◇支店へ問い合わせてみます。」
この会話例のように、単に「データがありません」「困っています」と伝えるのではなく、「現状どうなっているか」「自分がどう考えたか」「どうしてほしいか」を明確に伝えることで、相手は状況を速やかに把握し、判断や指示がしやすくなります。
よくある疑問と注意点
Q:どこまで自分で考えて伝えるべきですか?
A:新社会人のうちは、完璧な解決策を考える必要はありません。しかし、「何も考えていない」という印象を与えないためには、現状を整理し、自分なりに考えられる「次の行動」や「選択肢」を一つでも良いので提示することが大切です。「〜という状況で、自分では判断がつかないため、どのように進めるべきかご指示いただけますでしょうか」という伝え方でも十分です。全く考えずに丸投げするのではなく、状況を理解し、考えようとしている姿勢を示すことが重要です。
Q:自分の考えが間違っていたらどうしようと不安です。
A:最初は誰もが間違える可能性があります。大切なのは、間違っていても良いので自分なりの考えを持って伝えることです。そうすることで、相手はあなたの理解度や考え方の癖を把握でき、適切なフィードバックや指導がしやすくなります。もし考えが間違っていたとしても、それは学びの機会になります。「まだ経験が浅いため、的外れなことを申しましたら申し訳ありません。〇〇と考えたのですが、いかがでしょうか」のように謙虚な姿勢で伝えれば、相手も丁寧に教えてくれることが多いものです。
Q:相手が忙しそうで話しかけにくい場合は?
A:まずは「今お時間よろしいでしょうか」と尋ね、相手の状況を確認します。忙しそうであれば、「改めて〇時頃お伺いしてもよろしいでしょうか」と時間を改めるか、「△△の件で、ご相談したい事項が一つございます。大変お忙しいところ恐縮ですが、後ほど少しだけお時間をいただけないでしょうか。内容は〜です」のように、要件を簡潔に伝えてから改めて相談する時間をもらう方法もあります。メールやチャットなど、非同期で連絡できるツールで事前に状況を伝えておくのも有効です。
Q:敬語や言葉遣いに自信がありません。
A:丁寧語(ですます調)を基本に、失礼な印象を与えない言葉遣いを心がけます。上司や先輩に対しては尊敬語や謙譲語が必要になる場面もありますが、まずは丁寧語で正確に情報を伝えることを目指しましょう。会話例を参考に、定型的なフレーズから使い始めてみるのも良い方法です。もし不安であれば、「〇〇という言葉遣いは失礼でしょうか?」と信頼できる先輩などに質問してみるのも良いでしょう。完璧を目指すよりも、まずは相手に敬意を払い、丁寧に伝えようとする姿勢が大切です。
まとめ
新社会人にとって、報連相は日々の業務の基本です。単に事実を伝えるだけでなく、「この情報を聞いた相手が、次に何をするか」を意識することで、報連相はより効果的になります。
- 現在の状況を正確に伝える
- 自分なりに考えた次のアクションや選択肢を提示する
- 相手に具体的にどうしてほしいかを明確に伝える
これらのポイントを意識し、具体的なステップを踏んで報連相を行うことで、相手はスムーズに判断・行動に移ることができ、業務全体が円滑に進みます。最初は難しく感じるかもしれませんが、少しずつ意識して実践していくことで、報連相のスキルは必ず向上します。相手を思いやる気持ちを持って、自信を持って報連相に取り組んでください。