報連相の内容、どう残す?新社会人のための記録・管理術
報連相の内容を「残す」ことの重要性
新社会人の皆さまにとって、報連相は日々の業務において非常に大切なスキルです。上司や先輩に報告したり、業務について連絡したり、分からないことを相談したりすることで、仕事は円滑に進んでいきます。
しかし、口頭での報連相や、後から見返せない方法で伝えた内容は、時間と共に曖昧になったり、忘れてしまったりする可能性があります。「言ったはずなのに伝わっていない」「あの時なんて指示されたっけ?」といった状況は、業務の遅延やミスの原因になりかねません。
そこで重要になるのが、報連相の内容を適切に「記録」し、「管理」することです。記録することで、情報の正確性を保ち、後からいつでも内容を確認できるようになります。これは、自分自身の記憶を補完するだけでなく、関係者との認識のずれを防ぎ、円滑なコミュニケーションを維持するために役立ちます。
なぜ報連相の記録・管理が必要なのか
報連相の内容を記録し管理することには、いくつかの重要なメリットがあります。
- 情報の正確性確保: 曖昧になりがちな口頭での指示や決定事項を、正確な形で残せます。
- 記憶の補完: 後から「あれはどうだったかな」と思った時に、メモを見返せばすぐに確認できます。これにより、再度の確認の手間が省けます。
- 「言った・言わない」の防止: 記録があれば、認識のずれが生じた際に事実を確認できます。
- 業務の振り返り: 過去の報連相記録を見返すことで、自身の業務内容や指示内容を整理し、効率化や改善点を見つけられます。
- 信頼の獲得: 指示内容や共有された情報を正確に把握している姿勢は、周囲からの信頼につながります。
- 次の報連相の準備: 過去の経緯や決定事項を記録しておけば、次の報告や相談をする際にスムーズに話を進められます。
何を記録すればよいのか?記録すべき項目
報連相の内容を全て詳細に記録する必要はありませんが、後で見返した時に必要な情報が分かるよう、ポイントを絞って記録することが大切です。最低限、以下の項目を意識して記録するとよいでしょう。
- 日時: いつ報連相を行ったか。
- 相手: 誰に対して、または誰から報連相を受けたか(上司、先輩、他部署の方など)。
- 内容の要点: 報告、連絡、相談の主な内容。何について話したのか。
- 決定事項・指示内容: 報連相の結果、具体的に何が決まったか、どのような指示を受けたか。
- ToDo(今後の行動): 自分や相手が次に行うべきこと。
- 期日・期限: 上記ToDoや情報の共有期限など、期日がある場合は必ず記録します。
- 確認事項: 自分が疑問に思って確認したこと、または相手から確認されたこと。
例えば、上司から新しいタスクを依頼された場合の記録は、以下のような情報を含むと役立ちます。
- 日時: 〇月〇日 15:00
- 相手: 〇〇部長
- 内容の要点: △△プロジェクト関連資料作成依頼
- 決定事項・指示内容: 既存資料を基に〇〇の部分を修正。ターゲットは△△部門向け。
- ToDo:
- 既存資料(フォルダ〇〇内)確認
- 〇〇部分の修正案作成
- 不明点は〇〇課の△△さんに確認
- 期日・期限: 〇月〇日午前中までに修正案提出
- 確認事項: 修正範囲と提出方法(メール添付)について確認済み
このように具体的に記録することで、後から見返した時に「何を」「いつまでに」「どうすればよいか」がすぐに分かります。
報連相の記録に使えるツールと活用方法
記録する方法は一つではありません。ご自身の環境や報連相の内容に応じて、複数のツールを使い分けることも有効です。
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ノート・メモ帳:
- メリット: すぐに書き留められる、形式を気にせず自由に書ける。
- 活用方法: 口頭での急な指示や相談の際に、走り書きで要点をメモする。日付と相手の名前を必ず書き添える。後で清書したり、PCに移したりする習慣をつけるとより効果的です。
- 会話例:
- 「恐れ入ります、今お話しいただいた内容をメモしてもよろしいでしょうか。」
- 「はい、承知いたしました。今お話しいただいた〇〇について、念のため手元のノートに書き留めさせていただきます。」
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PCのテキストファイル・メモアプリ:
- メリット: 検索しやすい、清書しやすい、図やリスト化もしやすい。
- 活用方法: 口頭やチャットで受けた指示を後で整理して記録する。タスクごとにファイルを作成したり、日付で管理したりする。
- 会話例(口頭で受けた指示を記録する際):
- 「〇〇様、先ほどご指示いただいた件について、内容を改めてテキストで記録しておきました。不明点があればまたご質問させていただきます。」(※事後報告として)
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ビジネスチャット・メール:
- メリット: 報連相そのものが記録として残る、時系列で追いやすい。
- 活用方法: チャットやメールでのやり取りは基本的に記録されますが、重要な決定事項やToDoは改めて自分のメモにも転記したり、リマインダーを設定したりするとよいでしょう。口頭で確認した内容を、念のためチャットやメールで送って確認を取ることも有効です。
- 会話例(口頭での決定事項をチャットで再確認):
- 「〇〇さん、先ほどお話しさせていただいた〇〇の件ですが、△△までに□□を行う件で相違ないでしょうか。念のためチャットで確認させてください。」
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タスク管理ツール・プロジェクト管理ツール:
- メリット: タスクと報連相内容を紐づけて管理できる、期日管理がしやすい、進捗状況が可視化される。
- 活用方法: 依頼されたタスクをツールに登録し、関連する報連相(指示内容、確認事項、完了報告など)をコメント欄や詳細に記録する。上司やチームメンバーと共有しているツールであれば、情報共有も兼ねられます。
記録を効果的に活用するためのステップ
記録した内容を「管理」し、「活用」することで、報連相はさらに効果的なものになります。
- 定期的に見返す: 毎日業務開始前や終了後、または週に一度など、決まった時間に記録を見返しましょう。指示された内容やToDoを再確認し、抜け漏れがないかチェックします。
- ToDoリストと連携させる: 記録した決定事項やToDoは、自身のToDoリストやタスク管理ツールに反映させます。これにより、やるべきことが明確になり、期日管理もしやすくなります。
- 報告の準備に利用する: 上司に報告する際に、これまでの報連相記録(指示内容、経過、確認事項など)を振り返ります。これにより、話の整理がつき、スムーズで的確な報告ができます。
- 不明点・疑問点の整理: 記録を見返していて、「あれ、ここはよく分からないな」といった点があれば、次回の相談で質問する内容として整理しておきます。
- 情報の分類・整理: 議事録、指示、相談内容など、種類やプロジェクトごとに分類して記録しておくと、後から特定の情報を見つけやすくなります。
よくある疑問と解決策
- Q: 全てを記録するのは大変ではないでしょうか?
- A: 全てを逐語的に記録する必要はありません。前述の「何を記録すればよいか」で挙げた、日時、相手、要点、決定事項、ToDo、期日といった、後で確認が必要になる可能性のある項目に絞って記録します。慣れるまでは少し時間がかかるかもしれませんが、慣れてくると要点を捉えるのが早くなります。
- Q: 報連相中にメモを取るタイミングが分かりません。相手に失礼にならないでしょうか?
- A: 口頭での報連相の場合、相手が話し始める前に「お話しいただいた内容、確認のためメモを取らせていただいてもよろしいでしょうか」と一声かけると丁寧です。会議中であれば、議事録を取るのと同様に、要点をメモすることは一般的に認められています。メモを取ることで、真剣に話を聞いているという姿勢も伝わります。
- Q: 記録はしたものの、見返す時間がありません。
- A: 見返す時間を意識的に作り出すことが大切です。例えば、毎日の業務開始前や終了前の5〜10分を「記録確認タイム」として確保したり、移動時間などの隙間時間を活用したりします。記録する際に、後で見返しやすいように要点をまとめておくことも時間の節約につながります。
- Q: 記録した内容をどう整理すれば、後から見つけやすいでしょうか?
- A: デジタルツールであれば、ファイル名に日付やキーワードを含めたり、フォルダ分けしたりします。ノートであれば、インデックスをつけたり、重要な箇所にマーカーを引いたりする方法があります。自分にとって最も見やすく、続けやすい方法を見つけることが重要です。
まとめ
報連相の内容を記録し、それを適切に管理・活用することは、新社会人の皆さまが自信を持って業務に取り組むための強力な助けとなります。最初は少し手間に感じるかもしれませんが、習慣化することで、情報の取りこぼしを防ぎ、正確なコミュニケーションスキルが身につき、結果として周囲からの信頼を得ることにつながります。
今回ご紹介した「記録すべき項目」や「ツールの活用方法」を参考に、ご自身に合った方法で報連相の記録・管理をぜひ実践してみてください。正確な情報に基づいて業務を進めることで、無用なやり直しやミスを減らし、よりスムーズに仕事を進められるようになるはずです。