新社会人のための報連相への返答・フィードバック活用術:受け止め方と次への活かし方
報連相は、業務を円滑に進める上で非常に重要なビジネススキルです。しかし、単に情報を「伝える」だけでなく、上司や先輩から受け取る「返答」や「フィードバック」を正確に理解し、適切に次の行動へ活かすことも同様に重要です。
新社会人の方々にとって、報連相に対する返答が予想と違ったり、フィードバックの内容がすぐに理解できなかったりする場合もあるかもしれません。どのように受け止め、次にどう繋げれば良いのか迷うこともあるでしょう。
この記事では、報連相後の返答やフィードバックを効果的に活用するためのステップと、具体的な実践方法について解説します。
報連相後の返答・フィードバックが重要な理由
報連相は、自分の状況を共有し、必要な指示やアドバイスを得るための行為です。それに対する返答やフィードバックは、業務の方向性が正しいか、改善すべき点はないか、次に何をすべきかを知るための貴重な情報源となります。
これらの情報を受け止め、適切に対応することで、業務の質を高め、手戻りを減らし、自身の成長に繋げることができます。逆に、返答やフィードバックを十分に理解せず、あるいは無視して進めてしまうと、意図しない方向に進んでしまい、大きなミスに繋がる可能性もあります。
ステップ1:返答・フィードバックを正確に「受け取る」
まず大切なのは、相手からの返答やフィードバックの内容を正確に受け取ることです。
集中して聞く、読む
- 口頭での場合: 上司や先輩の話に集中し、相槌を打つなど、真剣に聞いている姿勢を示しましょう。スマートフォンやパソコンの操作は控え、相手の目を見て話を聞くことが基本です。
- メールやチャットの場合: 送られてきた内容を落ち着いて、複数回読み返してみましょう。特に指示や確認事項は、見落としがないか注意深く確認します。
不明点はすぐに確認する
少しでも疑問点や不明な点があれば、その場ですぐに確認することが重要です。曖昧なままにしておくと、誤った解釈で業務を進めてしまうリスクがあります。
- 確認の際のフレーズ例:
- 「恐れ入ります、今おっしゃった〇〇という点は、具体的にはどのようなことでしょうか。」
- 「念のため確認させてください。これは、△△という理解でよろしいでしょうか。」
- 「いただいたご指示は承知いたしました。一つだけよろしいでしょうか。この件の期日はいつまでになりますでしょうか。」
メモを活用する
口頭での指示やフィードバックは、聞き漏らしたり忘れてしまったりすることがあります。必ずメモを取りましょう。
- メモするべき内容の例:
- 指示・依頼の内容
- 期日
- 懸念されていること
- 代替案やアドバイス
- 次に取るべきアクション
感情的にならない
フィードバックの中には、自分の至らなかった点や改善を求められる内容が含まれることもあります。そのような場合でも、感情的にならず、事実として受け止める姿勢が大切です。「自分を否定された」と捉えるのではなく、「より良くするためのアドバイスだ」と前向きに受け止めましょう。
ステップ2:内容を「理解」する
受け取った返答やフィードバックの内容を、自分の中でしっかりと理解します。
返答の種類を識別する
相手からの返答が、単なる「了解」なのか、具体的な「指示」なのか、「確認」を求めているのか、「承認」なのか、あるいは「懸念」や「代替案」の提示なのかを識別します。
- 例:
- 「了解です。そのまま進めてください。」 → 承認・続行の指示
- 「〇〇のデータは最新のものを使っていますか?」 → 確認
- 「そのやり方だと△△のリスクがあるので、□□の方法も検討してみてください。」 → 懸念の提示・代替案の提案
言葉の裏にある意図や背景を考える
なぜ相手はそのような返答をしたのか、その背景や意図を考えてみましょう。
- 例:
- 単に「了解」と言われた場合:信頼されている、特に問題がない、忙しくて詳細な返答ができない、などの可能性があります。
- 細かく質問された場合:何か懸念点がある、情報が不足している、といった可能性があります。
- 否定的なフィードバックの場合:期待に応えられていない点がある、改善を強く求めている、といった意図があると考えられます。
自分の報告内容と返答内容の関連性を整理する
自分が何を報告し、それに対してどのような返答が来たのかを整理します。返答が、自分の報告のどの部分に対するものなのかを明確にします。
ステップ3:次の行動を「検討」する
返答・フィードバックの内容を理解したら、それに基づき、次に何をすべきかを具体的に考えます。
- 返答が具体的な指示であれば、その指示に従って作業を進めます。
- 確認を求められている場合は、必要な情報を調べて返答を準備します。
- 懸念や代替案が提示された場合は、その内容を検討し、自分の考えをまとめる必要があるかもしれません。
- 承認が得られた場合は、安心して次のステップに進みます。
判断に迷う場合の検討
返答の内容が曖昧で、次にどう動くべきか判断に迷う場合は、自分で勝手に判断せず、再確認や相談の必要性を検討します。
- 「この場合、AとBのどちらで進めるべきか」「いつまでにこの情報を準備すれば良いか」など、具体的な疑問点を明確にします。
ステップ4:必要に応じて「返信・再確認」する
受け取った内容だけで次の行動が明確にならない場合や、理解した内容の確認が必要な場合は、適切に返信や再確認を行います。
理解した内容の確認
特に口頭やチャットでのやり取りの場合、自分が理解した内容が相手の意図と合っているかを確認する返信は有効です。
- 確認の際のフレーズ例:
- 「ご指示ありがとうございます。〇〇の件、△△という理解で、明日中に□□を進めればよろしいでしょうか。」
- 「承知いたしました。フィードバックを踏まえ、来週月曜日までに改めて◇◇の資料を作成いたします。」
次のアクション案を提示し、承認を得る
曖昧な返答に対して、自分が考えた次のアクション案を提示し、相手の承認を得ることで、誤った方向に進むリスクを減らせます。
- アクション案提示のフレーズ例:
- 「いただいたご意見を踏まえ、一度△△の方法で試してみようと考えております。来週中に中間報告を差し上げますが、よろしいでしょうか。」
- 「ご指摘いただいた点について、□□の資料を確認しました。この情報をもとに修正を進めますが、よろしいかご確認いただけますでしょうか。」
改めて質問・相談する
ステップ1で確認しきれなかったことや、検討した結果生じた新たな疑問点について、改めて質問・相談を行います。この際、ステップ1で解説したように、事前に質問内容を整理しておくことが大切です。
- 再質問・相談のフレーズ例:
- 「先ほどご指示いただきました〇〇の件で、一点確認させていただけますでしょうか。」
- 「△△についてご相談させてください。ご提示いただいた方法で進める場合、◇◇のデータが必要になるかと存じますが、どちらで取得すればよろしいでしょうか。」
具体的な場面例
場面例1:進捗報告への「了解」だけの返答
あなたが「〇〇のタスクを△△まで進めました」と報告したところ、上司から「了解」とだけ返答が来ました。
- 考え方: 「了解」は、あなたの報告内容を把握したという意味です。特に問題なく、そのまま進めて良いという意図が込められていることが多いです。
- 次の行動: 特に指示が追加されない限り、計画通り次のステップに進みます。もし、報告した内容について、上司からの詳細な指示や確認が必要だとあなたが考えていた場合は、改めて意図を確認することも検討します。
- 確認フレーズ例: 「ありがとうございます。このまま次のステップ□□に進めてよろしいでしょうか。」
場面例2:相談への「一度やってみようか」という曖昧な返答
あなたが新しい方法を試したいと相談したところ、上司から「うーん、一度やってみようか」と少し歯切れの悪い返答が来ました。
- 考え方: 完全に承認されたわけではなく、何らかの懸念がある可能性があります。リスクを伴う判断をあなたに委ねている場合もあります。
- 次の行動: 安易に「承認された」と捉えず、懸念される点がないか改めて確認したり、小さな範囲で試す提案をしたりすることを検討します。
- 確認・提案フレーズ例: 「ありがとうございます。懸念される点などはございますでしょうか。また、まずは小規模でテスト的に進めてみて、結果をご報告させていただいてもよろしいでしょうか。」
場面例3:成果報告への具体的なフィードバック
あなたが作成した資料を提出し、上司から「内容は良いが、構成をもう少し□□のように変更すると、より分かりやすくなる」という具体的なフィードバックを受けました。
- 考え方: あなたの努力を認めつつ、改善点を明確に示してくれています。これはあなたの成長を促すための貴重なアドバイスです。
- 次の行動: フィードバックの内容を正確に理解し、修正作業に取り掛かります。フィードバックの意図が不明確な場合は、具体的な修正方法について質問・相談することも検討します。
- 確認・返答フレーズ例: 「ありがとうございます。□□のように構成を変更する点、承知いたしました。特に、〇〇の情報を前に出す、という理解でよろしいでしょうか。」
場面例4:メールでの返答への対応
あなたが送った報告メールに対し、上司から簡潔な返信(例:「確認しました」「承知」)が来ました。
- 考え方: メールでの簡潔な返信は、内容を把握したという意思表示です。特に詳細な指示や確認がなければ、そのまま業務を進めて良いことが多いです。
- 次の行動: 特に返信を求められていなければ、基本的に返信は不要です。しかし、次のアクションについて指示を待っていた場合や、自分の理解で合っているか確認したい場合は、簡潔な返信を送りましょう。
- 返信フレーズ例: 「ご確認いただきありがとうございます。承知いたしました。」(指示を待っていた場合)「ご確認ありがとうございます。引き続き〇〇を進めます。」
よくある質問
Q1:フィードバックが厳しく、落ち込んでしまう時の受け止め方は?
A1: フィードバックは、あなたの人格を否定するものではなく、あなたの「仕事の成果」や「仕事の進め方」に対するものです。感情的にならず、「仕事の質を向上させるための具体的な情報だ」と捉え直しましょう。もし内容が抽象的で理解できない場合は、「具体的にはどのような点でしょうか」と尋ねることも有効です。信頼できる先輩に相談してみるのも良いかもしれません。
Q2:返答を待っている間に何をすべきか?
A2: 返答が必要な報連相を行った後は、漫然と待つのではなく、返答が来たらすぐに次の行動に移れるように準備を進めます。関連情報の収集、次のステップで必要になるタスクの洗い出し、代替案の検討などが考えられます。また、返答を待つ期限を事前に確認しておき、もし期限を過ぎても返答がない場合は、相手の状況を考慮しつつ、改めて確認の連絡を入れることも必要です。
Q3:複数人からの返答が食い違う場合は?
A3: 複数の人から異なる指示や意見が寄せられた場合は、どちらの指示に従うべきか判断が難しくなります。このような場合は、食い違っている点を明確にした上で、最終的な判断を下せる立場の人(通常は直属の上司)に相談しましょう。それぞれの意見の内容と、あなたがどのように考えているかを併せて伝えると、相談がスムーズに進みます。
まとめ
報連相は、単に情報を伝えることだけでなく、その後に受け取る返答やフィードバックを正確に受け止め、理解し、自身の次の行動や成長に繋げていく一連のプロセスです。
今回ご紹介したステップを踏むことで、受け取った情報をより効果的に活用し、業務をスムーズに進めることができるようになります。
返答やフィードバックを恐れず、むしろ成長の糧として積極的に受け止め、活用していくことで、新社会人としての基礎着実に築いていくことができるでしょう。