どのツールで報連相する?新社会人のための適切な手段の選び方
報連相(報告・連絡・相談)は、ビジネスを円滑に進める上で非常に重要な要素です。しかし、いざ実践しようとすると、「どのツールを使って伝えれば良いのだろう」と迷うことがあるかもしれません。対面、電話、メール、チャットなど、様々なコミュニケーションツールがある中で、状況や目的に合わせて適切な手段を選ぶことは、情報を正確かつ効率的に伝え、相手との良好な関係を築くために不可欠です。
この記事では、それぞれのツールの特徴を踏まえ、どのような状況でどのツールを選択するのが適切か、具体的な場面を交えながら解説します。
報連相に使う主なコミュニケーションツール
報連相に用いられる代表的なツールには、以下のものがあります。それぞれの特徴を理解することが、適切な使い分けの第一歩です。
-
対面
- 特徴: 相手の表情や声のトーンからニュアンスを読み取ることができ、意思疎通がしやすい方法です。その場ですぐに質問や議論が可能です。
- メリット: 情報の伝達がスムーズで誤解が生じにくい。緊急時にも素早い対応が可能。相手との信頼関係を築きやすい。
- デメリット: 相手の時間を取るため、タイミングを考慮する必要がある。記録が残りにくい。
-
電話
- 特徴: 対面に次いで即時性の高いツールです。声だけでコミュニケーションを取ります。
- メリット: 緊急度の高い内容を素早く伝えられる。対面できない相手ともリアルタイムでやり取りできる。
- デメリット: 相手が電話に出られない場合がある。情報が記録に残りにくい(議事録などを別途作成する必要がある)。相手の状況が見えないため、タイミングを計るのが難しい場合がある。
-
メール
- 特徴: 情報がテキストで記録に残るツールです。複数人に一度に情報を共有しやすい特性があります。
- メリット: 正確な情報伝達に適している。後から内容を確認しやすい。相手の都合の良いタイミングで見てもらえる。形式的な内容や重要な通知に適している。
- デメリット: 即時性に欠ける。ニュアンスが伝わりにくく、誤解が生じる可能性がある。返信に時間がかかる場合がある。
-
チャット/ビジネスSNS
- 特徴: メールよりも手軽で、短いメッセージのやり取りに適しています。グループでの情報共有も迅速に行えます。
- メリット: スピーディーな情報伝達と簡単な確認に適している。非公式なコミュニケーションも取りやすい。複数人での情報共有がしやすい。
- デメリット: 情報が流れてしまいやすい。長文や複雑な内容の伝達には不向き。カジュアルになりすぎる可能性がある。
状況別・目的別の適切なツール選び
報連相の内容や緊急度、相手の状況などを考慮して、最適なツールを選択することが重要です。
1. 緊急性の高い報告・連絡
- 例: 顧客からクレームが発生した、システム障害が起きた、納期に間に合わない可能性が出てきた
- 適したツール: 対面、電話
- 理由: 状況を速やかに正確に伝え、指示を仰ぐ必要があるため、即時性の高いツールを選びます。
- 実践例(電話の場合):
- 「〇〇部の△△です。ただ今お時間よろしいでしょうか。」
- 「大変申し訳ございません。先ほど〇〇様から、商品△△に関するクレームのご連絡をいただきました。」
- 「詳細につきましては、〇〇という状況でございます。今後の対応について、ご指示いただけますでしょうか。」
2. 確認や簡単な共有
- 例: 資料の格納場所を確認したい、今日の簡単なタスク進捗を伝えたい、会議の日程変更を共有したい
- 適したツール: チャット/ビジネスSNS、または状況により対面
- 理由: 手軽に迅速なやり取りができるチャットが適しています。相手が近くにいれば対面でも良いでしょう。
- 実践例(チャットの場合):
- 「〇〇さん、お疲れ様です。先日の会議資料はどちらのフォルダに保存されていますでしょうか?」
- 「本日のタスク、△△の件は完了いたしました。〇〇の件を進めております。」
- 「皆様、本日の定例会議は、予定通り14時から開始いたします。場所は△△です。」
3. 詳細な情報伝達や記録が必要な報告
- 例: 〇〇プロジェクトの進捗報告書、お客様との打ち合わせ議事録、重要な決定事項の通知
- 適したツール: メール
- 理由: 内容を正確に伝える必要があり、かつ後から確認できるよう記録を残す必要があるため、メールが適しています。
- 実践例(メールの場合):
- 件名: 〇〇プロジェクト 月次進捗報告(〇月分)
-
本文: △△部 〇〇様
いつもお世話になっております。 △△部の(自分の名前)です。
〇〇プロジェクトの〇月分の進捗をご報告いたします。
(進捗内容を箇条書きなどで記載)
今後ともよろしくお願いいたします。
(自分の署名)
4. 込み入った相談や議論
- 例: 業務の進め方に迷っている、新しい企画について意見交換したい
- 適したツール: 対面
- 理由: 相手の反応を見ながら詳細な状況を説明したり、複数人で意見を出し合ったりするには、対面が最も適しています。事前にアポイントを取るなど、相手の都合を考慮することが重要です。
- 実践例(対面で切り出す場合):
- (相手に話しかける)「〇〇さん、今少々お時間いただけますでしょうか。」
- (時間をもらえたら)「ありがとうございます。△△の件でご相談したいことがありまして。」
- (相談内容を説明し、助言を求める)「このような状況なのですが、どのように進めるのが良いか、ご意見をいただけますでしょうか。」
ツール選びで迷ったら?
どのツールを使うべきか判断に迷った場合は、以下の点を考慮してみてください。
- 緊急度: 高ければ電話や対面、そうでなければメールやチャット。
- 内容の複雑さ: 複雑な内容であれば対面や電話、またはメールで事前に情報を共有してから話す。簡単な内容ならチャット。
- 記録の必要性: 後から内容を確認する必要があればメール。
- 相手の状況: 相手が会議中などで電話に出られない可能性があればメールやチャットで伝える、または後で改めて連絡する。
- 部署や社内の慣習: 所属する部署や会社で推奨されているツールや、特定の種類の報連相で慣習的に使われているツールがあれば、それに従うことも大切です。
まとめ
報連相におけるツールの選択は、情報の伝達効率や正確性、そして相手とのコミュニケーションに大きく影響します。緊急度、内容、記録の必要性、相手の状況などを総合的に判断し、それぞれのツールの特性を活かすことで、より質の高い報連相が可能になります。
今回ご紹介した使い分けの例を参考に、日々の業務の中で少しずつ実践し、自分にとって、そして相手にとって最もスムーズな報連相の形を見つけていくことが大切です。適切なツール選びをマスターし、自信を持って報連相に取り組んでください。