聞き間違え・やり直しを防ぐ!新社会人のための指示・依頼の聞き方と確認ステップ
仕事を進める上で、上司や先輩からの指示・依頼を正確に理解することは非常に重要です。指示内容を聞き間違えたり、曖昧なまま進めてしまったりすると、作業のやり直しが発生したり、納期に間に合わなくなったりする可能性があります。これは、自身の信頼に関わるだけでなく、チーム全体の業務効率にも影響します。
この解説では、新社会人が指示・依頼を正確に受け止め、自信を持って業務に取り組むための聞き方、確認、復唱のステップを具体的にご紹介します。
ステップ1:指示・依頼を受ける際の心構え
指示や依頼を受ける際は、まずその内容を正確に把握しようという意識を持つことが大切です。
- 集中して聞く: 指示を受けている間は、他の作業を止め、相手の話に意識を集中します。
- メモを取る準備: 聞きながらすぐにメモが取れるよう、ペンとノート(またはPCやスマートフォンなど)を準備しておきます。
- 聞いている姿勢を示す: 相槌を打ったり、うなずいたりすることで、相手に「しっかり聞いています」という姿勢を示します。「はい」「承知いたしました」といった返事も効果的です。
ステップ2:聞き方の基本
指示や依頼には、押さえておくべきいくつかの重要な要素が含まれています。これらを意識しながら聞くことで、内容の理解度が深まります。
- 目的: 「なぜこの作業が必要なのか」「この作業で何を達成したいのか」を理解しようとします。目的が分かると、作業の優先順位や、どのような点に注意すべきかが見えてきます。
- 内容: 「具体的に何をするのか」「どのような手順で進めるのか」を聞き取ります。専門用語や略語で分からないものがあれば、その場で確認することも検討します。
- 納期・期日: 「いつまでに完了させる必要があるのか」を明確にします。「できるだけ早く」といった曖昧な指示の場合は、「〇〇様にご確認いただくために、明日午前中まででよろしいでしょうか」のように具体的な期日を提案して確認します。
- 担当者・関係者: 「誰が担当者なのか」「誰に報告・相談すればよいのか」「他に連携が必要な人はいるか」を確認します。
- 必要な情報・資料: 作業を進める上で必要な情報や資料(例:過去のデータ、テンプレート、連絡先など)があるか確認します。
ステップ3:確認・復唱の方法
指示を聞き終えたら、内容を正確に理解できているか確認し、必要に応じて復唱します。これは、自分の理解が合っているか確認するため、そして相手も指示が正しく伝わったか安心できるために行う大切なステップです。
- 確認のタイミング: 指示全体を聞き終えた後や、区切りの良いタイミングで行います。
- 具体的な確認のフレーズ例:
- 「恐れ入ります、今お話しいただいた内容について確認させていただけますでしょうか。」
- 「〇〇の件ですが、△△を□□までに実施する、ということで合っていますでしょうか。」
- 「この件は私が担当し、完了したら山田さんに報告すればよろしいでしょうか。」
- 「資料はAファイルではなく、Bファイルを使えばよろしいでしょうか。」
- 「納期は明日の15時ですね。」
- 不明な点や曖昧な点について尋ねる際には、「〜についてもう少し詳しく教えていただけますでしょうか」「〜について、念のため確認させてください」といった言葉を添えると丁寧です。
- 復唱の方法: 聞き取った指示の要点を繰り返して伝えます。
- 「承知いたしました。〇〇の件、△△を□□までに進めてまいります。」
- 「ありがとうございます。では、こちらの資料を元に、明日午前中までにたたき台を作成いたします。」
- 数字や固有名詞、期日などは特に間違いやすい箇所ですので、意識して復唱すると効果的です。
- メモを見ながら確認: 取ったメモを見ながら確認や復唱をすることで、漏れや勘違いを防ぎやすくなります。
ステップ4:理解できなかった場合の質問の仕方
指示内容がよく理解できなかった場合や、疑問点がある場合は、そのままにせず必ず質問します。「分からないことが分からない」という状態でも、何かしら疑問に思った点を具体的に伝える努力をします。
- 質問のタイミング: 指示を聞いている途中でも、相手が話し終えた区切りに質問しても構いません。ただし、相手が集中して話している最中を遮るのは避けた方が無難です。聞き終えた後にまとめて質問するのが一般的です。
- 具体的な質問のフレーズ例:
- 「恐れ入ります。先ほどの〇〇の部分が、私の理解が及ばず、もう一度ご説明いただけますでしょうか。」
- 「△△についてなのですが、これは〜ということでしょうか?それとも別の作業が必要でしょうか。」
- 「□□のデータは、いつの時点のデータを使用すればよろしいでしょうか。」
- 「もしよろしければ、今お伺いした内容を一度メモに取ったのですが、こちらで合っているかご確認いただけますでしょうか。」(確認・復唱と組み合わせる)
実践例:具体的なシーンでのやり取り
シーン1:簡単な資料作成を依頼された場合
上司:「〇〇さん、来週の会議で使う簡単な資料を作成してくれないか。この前のA会議の議事録を元に、決定事項と今後のアクションをまとめたものをお願いしたい。」
新社会人:「はい、承知いたしました。」
(上司の話を聞き終えた後)
新社会人:「恐れ入ります、今お伺いした件について確認させていただけますでしょうか。来週の会議で使用する資料として、A会議の議事録を元に、決定事項と今後のアクションをまとめたものを作成すればよろしいでしょうか。」
上司:「そうだ。」
新社会人:「資料はパワーポイントで作成しますでしょうか。また、期日は来週の会議の前日まででよろしいでしょうか。」
上司:「形式はパワーポイントで大丈夫だ。期日は会議の2日前、〇曜日の午前中までにもらえると助かる。」
新社会人:「承知いたしました。来週〇曜日の午前中までに、パワーポイントで資料を作成いたします。」
シーン2:少し複雑な調査依頼をされた場合
上司:「新しいシステム導入について、いくつかのベンダーを比較検討したい。〇〇さんには、候補リストにあるB社とC社について、機能、費用、サポート体制を中心に調査し、比較表を作成してもらいたい。調査は各社ホームページや公開されている資料で構わない。不明な点は問い合わせても良いが、その際は事前に確認してほしい。来月末までには中間報告が欲しいんだ。」
新社会人:「はい、承知いたしました。」
(上司の話を聞き終えた後)
新社会人:「恐れ入ります、いくつか確認させてください。この依頼は、B社とC社のシステムについて、機能、費用、サポート体制を中心に調査し、比較表を作成する、という理解で合っていますでしょうか。」
上司:「合っている。」
新社会人:「調査対象は、ホームページや公開資料が基本で、必要に応じて問い合わせも検討するのですね。問い合わせる際は、事前に上司にご確認が必要という認識です。」
上司:「その通りだ。」
新社会人:「比較表の形式について指定はありますでしょうか。エクセルで作成しますでしょうか。」
上司:「形式はエクセルで良い。項目について不明な点があれば相談してくれ。」
新社会人:「承知いたしました。中間報告は来月末ですね。最終的な報告はいつまでに行えばよろしいでしょうか。」
上司:「最終報告は再来月末を予定しているが、まずは中間報告をお願いする。」
新社会人:「承知いたしました。では、B社とC社のシステムについて、機能、費用、サポート体制を中心に調査し、エクセルで比較表を作成いたします。不明な点は事前に確認し、来月末に中間報告をさせていただきます。」
よくある疑問・課題への対応
- メモを取るのが追いつかない: 全てを完璧に書き取る必要はありません。重要なキーワードや数字、期日などを中心にメモします。後で確認する際に役立ちます。会話例のように、メモを見ながら確認・復唱することも有効です。
- 質問するタイミングが分からない: 相手が話を終えたタイミングや、「何か質問はあるか」と尋ねられた際に質問するのが一般的です。どうしても分からず作業が進められない場合は、業務時間内のできるだけ早いタイミングで相談します。
- 「何が分からないか分からない」状態: これは、指示の全体像や目的が掴めていない場合に起こりがちです。まずは、指示の目的、最終的に何を作成・完了するのか、期日はいつか、といった基本的な部分を明確にする質問から入ってみましょう。
- 忙しそうな上司への確認の仕方: 「お忙しいところ恐れ入ります」「少しお時間いただけますでしょうか」といった言葉を添え、相手の状況を配慮した上で簡潔に確認します。聞きたい内容を事前にまとめておくとスムーズです。
まとめ
仕事における指示・依頼の正確な理解は、業務を円滑に進め、手戻りを減らすための基礎です。最初から全てを完璧にこなすことは難しいかもしれません。大切なのは、「正確に理解しよう」という意識を持ち、集中して聞き、適切に確認・復唱・質問を行うことです。
ご紹介したステップやフレーズを参考に、日々の業務の中で少しずつ実践してみてください。正確に指示を受け止め、自信を持って作業を進められるようになるはずです。