これで安心!新社会人のための「依頼・指示内容」確認と質問・相談のステップ
依頼・指示内容の正確な理解は、質の高い仕事の第一歩です
新社会人として働き始めると、日々さまざまな先輩や上司から仕事の依頼や指示を受ける機会が増えます。しかし、その内容を曖昧なまま進めてしまい、後からやり直しになったり、思っていたものと違う成果物になってしまったりといった経験は避けたいものです。
依頼や指示の内容を正確に理解することは、仕事の質を高め、信頼を得る上で非常に重要です。特に新社会人のうちは、「こんな基本的なことを聞いても良いのだろうか」「自分で調べるべき範囲が分からない」「忙しそうなのに声をかけにくい」といった不安から、確認や質問をためらってしまうことがあるかもしれません。
この記事では、依頼や指示を受けた際に、内容をしっかりと理解し、不明な点があれば適切に確認・質問・相談するための具体的なステップを解説します。このステップを実践することで、不安を減らし、自信を持って仕事に取り組めるようになるでしょう。
ステップ1:依頼・指示を受ける「その時」に行う確認
依頼や指示は、まず正確に「聞く」ことから始まります。この段階で、内容の骨子を捉え、基本的な不明点をなくすための確認を行います。
ポイント1:必ずメモを取りましょう
話を聞きながら、必ずメモを取る習慣をつけましょう。依頼された仕事の目的、期日、担当者、具体的な作業内容、必要な情報源などを書き留めます。これは、後で見返せる記録になるだけでなく、話を整理し、理解度を高める助けになります。
ポイント2:聞きながら不明点を整理しましょう
話の途中で完全に理解できない点や、少しでも引っかかる点があれば、その場で頭の中で整理します。すぐに質問しにくい場合は、後で確認するためにメモに疑問点を書き加えておくと良いでしょう。
ポイント3:聞き終わった直後に基本的な項目を確認しましょう
相手の話が一段落したら、聞いた内容を復唱したり、特に重要な項目について確認したりします。これにより、聞き間違いや勘違いを防ぐことができます。確認するべき基本的な項目としては、以下のようなものがあります。
- 目的: 「この仕事は、最終的にどのような状態を目指すものでしょうか?」
- 期日: 「この仕事は、〇月〇日の△時までに完了すればよろしいでしょうか?」
- 担当: 「私が担当させていただく範囲は、〜までという認識で合っていますでしょうか?」
- 必要な情報・資料: 「作業に必要な資料は、〇〇フォルダにあるものでよろしいでしょうか? その他に必要な情報はございますか?」
- 報告のタイミング: 「中間報告などは、必要でしょうか? その場合、どのくらいの頻度で、どのような内容を報告すればよろしいでしょうか?」
会話例:上司から資料作成を依頼された場合
上司:「〇〇さん、このプロジェクトの会議で使う資料作成をお願いしたいんだけど、明日の午前中までに初稿を見せてくれるかな。目的は、顧客への提案内容を分かりやすく伝えること。必要なデータは△△のファイルにまとまっているから。」
あなた: 「はい、承知いたしました。会議用の資料作成ですね。 (メモを取りながら) 一点確認させていただけますでしょうか。期日は明日の午前中まで、目的は顧客への提案内容を分かりやすく伝えることですね。 必要なデータは△△のファイル、とのこと、ありがとうございます。 その他、資料のフォーマットや、盛り込むべき具体的な項目について、何か決まりや参考になるものはございますでしょうか?」
上司:「フォーマットは前回の会議資料を参考にしてみて。特に指定はないけど、提案のポイントが明確になるようにグラフとかも活用してくれると助かるな。」
あなた: 「承知いたしました。前回の会議資料を参考に、提案のポイントが明確になるよう作成いたします。グラフなども検討いたします。ありがとうございます。」
このように、聞き終わった直後に目的、期日、必要な情報などを確認することで、その後の作業をスムーズに進めるための土台ができます。
ステップ2:受けた依頼・指示内容を「理解する」段階での自己確認と調査
依頼・指示を聞き、基本的な確認を終えたら、次は自分自身で内容を深く理解する段階です。
ポイント1:メモを見返して内容を整理しましょう
取ったメモを見返しながら、依頼・指示の全体像を改めて把握します。各タスクの意味や、それぞれの繋がりを考えます。
ポイント2:不明な点や曖昧な点をリストアップしましょう
メモや資料を読み返しても、理解が難しい部分や、具体的な作業イメージが湧かない部分が出てくることがあります。「これはどういう意味だろう?」「具体的に何をすればいいのだろう?」「複数の選択肢があるが、どちらを選べば良いのだろう?」といった疑問点をリストアップします。
ポイント3:自分で調べられる範囲を判断し、調査しましょう
リストアップした疑問点について、まずは自分で解決できないか試みます。
- 過去の資料やマニュアルを確認する
- 会社の共有フォルダやデータベースを検索する
- 関連部署のウェブサイトや資料を確認する
- インターネット検索を活用する(ただし、社外秘情報に関わる場合は注意が必要)
自分で調べるべき範囲の判断は難しいことがありますが、一般的には「少し調べれば分かること」「過去に同様の事例がないか」といった点はまず自分で試みるのが良いでしょう。時間をかけすぎず、「〇分調べても分からなければ質問する」といったルールを自分の中で設けるのも有効です。
ステップ3:不明点を「質問・相談する」準備
自分で調べても解決できなかった不明点や、判断に迷う点については、適切に質問・相談を行います。質問の質を高めるための準備が重要です。
ポイント1:何を解決したいのか、目的を明確にしましょう
ただ「分かりません」と伝えるのではなく、「何が分からないのか」「何について判断に迷っているのか」を具体的にします。質問・相談の目的は、作業を正確に進めるために必要な情報を得ることにあります。
ポイント2:「自分でここまで考えた」「このように調べた」という情報を整理しましょう
質問する際は、「〇〇について理解ができていないのですが、自分で△△まで調べた結果、〜という状況です」「□□と理解したのですが、この考え方で合っていますでしょうか?」のように、自分で試みたことや、現在の理解度を伝えることが大切です。これにより、相手はあなたがどのレベルで困っているのかを把握しやすくなります。
ポイント3:聞きたいことを簡潔にまとめましょう
質問する内容を事前に整理し、伝えたいことを箇条書きにするなどして簡潔にまとめます。複数の質問がある場合は、優先順位を考えることも有効です。
ステップ4:適切に「質問・相談」を実行する
準備ができたら、いよいよ質問・相談を実行します。タイミングと伝え方が重要です。
ポイント1:相手の状況を見て、適切なタイミングを選びましょう
相手が会議中であったり、明らかに別の作業に集中していたりする場合は、少し待つ、または後ほど声をかける旨を伝えるなどの配慮が必要です。忙しそうな場合は、「お忙しいところ恐縮ですが、少々お時間をいただけますでしょうか」のようにクッション言葉を添えて声をかけます。
ポイント2:最適な手段を選びましょう(口頭、チャット、メール)
- 口頭: 簡単な確認や、すぐに判断が必要な場合。相手の状況をよく見て声をかけます。
- チャット: 比較的緊急度が低く、テキストで記録を残したい場合。相手の手を止めずに質問できますが、長文には向きません。
- メール: 複数の質問がある場合、詳細な説明が必要な場合、記録を正式に残したい場合。相手の都合の良い時に確認してもらえますが、即時性は低いです。
ポイント3:伝え方の基本構成を意識しましょう
質問・相談をする際は、以下の構成を意識すると、相手に伝わりやすくなります。
- 挨拶・クッション言葉: 「お疲れ様です」「お忙しいところ失礼いたします」「一点ご相談させていただけますでしょうか」
- 何についての質問・相談か: 「〇〇の件について」
- 現状・困っていること: 「現在、作業を進めているのですが、△△の部分で不明な点がありまして」
- 自分で試したこと・考えたこと: 「自分で過去の資料を調べたり、マニュアルを確認したりしたのですが、明確な情報を見つけられませんでした」「〜と□□のどちらの進め方が適切か判断に迷っております」
- 具体的に知りたいこと・お願いしたいこと: 「〜についてご教示いただけますでしょうか」「この件について、どのように進めるべきかアドバイスいただけますでしょうか」
- お礼: 「お忙しいところ恐縮ですが、よろしくお願いいたします」「ありがとうございます」
会話例:上司への口頭での質問・相談
あなた:「〇〇さん、お忙しいところ恐縮ですが、今少々お時間をいただけますでしょうか。」
上司:「はい、どうぞ。」
あなた:「ありがとうございます。先日の資料作成の件で一点ご相談させていただけますでしょうか。△△のデータについてなのですが、最新のデータは社内システムのどの部分を参照すればよろしいでしょうか。自分でもキーワードで検索してみたのですが、複数の候補が出てきてしまい、どれが最新か判断に迷っております。」
上司:「ああ、あのデータね。それはですね、□□システムの◇◇というレポートを参照してください。それが一番新しいはずです。」
あなた:「承知いたしました。□□システムの◇◇レポートですね。そちらを参照して進めます。ご教示いただきありがとうございます。」
会話例:先輩へのチャットでの質問
あなた: お疲れ様です。 先日ご依頼いただいた〇〇の件で一点確認させてください。 添付していただいた資料P.5の△△という箇所についてなのですが、これは「□□」という認識で合っていますでしょうか? もしよろしければご教示いただけますと幸いです。 よろしくお願いいたします。
会話例:他部署の担当者へのメールでの質問
件名:〇〇に関するお問い合わせ(△△部・氏名)
本文: 〇〇部 □□様
お世話になっております。 △△部の氏名です。
現在、〜のプロジェクトを進めており、貴部署にご提供いただいた資料の△△について確認させて頂きたく、ご連絡いたしました。
資料P.5に記載の「□□」という記述ですが、これは具体的に〜という理解で合っておりますでしょうか。
お忙しいところ大変恐縮ですが、ご教示いただけますと幸いです。 何卒よろしくお願い申し上げます。
−−−− 氏名 △△部 内線:XXXX メール:XXXX@XXXX.com −−−−
新社会人が抱えがちな質問・相談の課題と解決策
- 課題:自分で調べるべき範囲が分からない
- 解決策: まずは与えられた情報(資料、指示)を読み込み、次に社内マニュアル、過去事例、関連情報などを自分で探します。一定時間(例えば15分〜30分)探しても分からない場合は、「〜まで調べたが、この先の進め方が不明」という形で質問・相談します。全く調べずに質問するのではなく、自分で試行錯誤したプロセスを伝えることが大切です。
- 課題:聞き返すのが怖い、失礼に当たるのでは?
- 解決策: 一度で完璧に理解しようとする必要はありません。むしろ、曖昧なまま進める方が後で大きな問題になる可能性があります。「恐れ入ります、念のため確認させて頂けますでしょうか」「すみません、一点よろしいでしょうか」といったクッション言葉を使い、丁寧な言葉遣いを心がければ、聞き返すことは失礼には当たりません。メモを見ながら「〜ということですね、合っていますでしょうか?」と確認するのも有効です。
- 課題:相手が忙しそうで声をかけられない
- 解決策: 相手の状況をよく観察し、集中しているタイミングを避けます。すぐに返答が必要な内容でなければ、チャットやメールで「ご都合の良い時で構いませんので」といった言葉を添えて連絡します。口頭で伝えたい場合は、「今お時間よろしいでしょうか」と尋ねてから本題に入ります。
- 課題:質問の仕方が分からず、結局うまく伝わらない
- 解決策: 何が分からないのか、具体的に困っていることは何かを明確にしましょう。自分で考えた解決策や、複数の選択肢で迷っている場合は、その考えを伝えてアドバイスを求めます。「〜のように考えたのですが、この進め方で問題ないか確認させていただけますでしょうか」のように、自分の考えを添えることで、より的確なアドバイスを得やすくなります。
まとめ
依頼・指示の内容を正確に理解し、不明点を確認・質問・相談することは、新社会人の仕事の基本であり、最も大切なスキルのひとつです。最初は難しく感じるかもしれませんが、今回ご紹介したステップを実践することで、徐々に自信を持って行えるようになるでしょう。
正確な報連相は、あなた自身の成長を促すだけでなく、チーム全体の業務効率向上にも貢献します。恐れず、積極的に確認と質問・相談を行い、質の高い仕事を目指してください。