迷った時はどう報連相?新社会人のための確認・相談ステップ
迷ったまま進めるリスクと報連相の重要性
新社会人のうちは、任された仕事の進め方や、次に何をすべきかで迷う場面が多くあるものです。指示が不明確だったり、想定外の状況に直面したりすると、「これで合っているのだろうか」と不安になることもあるかもしれません。
ここで重要なのは、迷ったまま自己判断で進めてしまうことにはリスクが伴う、という点です。方向性が間違っていると、その後の手戻りが発生したり、期日までに完了できなかったり、周囲に迷惑をかけてしまう可能性もあります。
このような状況で力を発揮するのが「報連相(報告・連絡・相談)」です。特に「相談」は、迷いを解消し、正しい方向へ進むために非常に有効な手段です。迷った時に適切に相談することで、早期に軌道修正ができ、安心して業務を進めることができます。また、相談を通じて上司や先輩からアドバイスをもらうことは、学びや成長にも繋がります。
この記事では、仕事の進め方に迷った際に、新社会人が自信を持って確認・相談するための具体的なステップと、役立つ会話例をご紹介します。
迷った時の報連相の基本姿勢
仕事の進め方に迷った時、まずは一旦立ち止まり、状況を整理することが大切です。そして、「分からないから丸投げする」のではなく、「自分なりに考えた上で、確認・判断を仰ぐ」という姿勢を持つことが重要です。自分で考えるプロセスを経ることで、相談の質が高まり、より具体的なアドバイスを得やすくなります。
ステップ1:状況の整理と自己分析
まず、何に迷っているのか、具体的にどこが分からないのかを明確にしましょう。
- 迷いの特定: 業務のどの部分で、具体的にどのような点に迷いがあるのかを書き出してみます。「目的が分からない」「どの手順で進めるか分からない」「必要な情報が見つからない」「これで正しい進め方なのか確信が持てない」など。
- 指示の再確認: 依頼を受けた際の指示内容をメモやメールなどで改めて確認します。指示の中にヒントがないか、聞き漏らしはなかったかを確認します。
- 自己解決の検討: 自分で調べたり、過去の資料やマニュアルを参照したりすることで解決できないか検討します。同僚に聞いたり、社内システムで情報を検索したりすることも有効です。
- 相談の必要性の判断: 自己解決が難しい、あるいは自己判断ではリスクが大きいと判断した場合に、報連相が必要となります。
会話例(独り言またはメモとして): 「〇〇の資料作成を頼まれたけど、どのデータを集めればいいんだろう?指示には『最新の売上データ』とあったけど、具体的にどの期間だろうか。先週のデータでいいのだろうか。過去の資料を見ると別のデータも使っているみたいだし…自分で判断して間違えたら作り直しになるかもしれない。これは確認が必要だ。」
ステップ2:相談内容の準備
相談する内容を整理し、伝えるべき情報を準備します。
- 迷っている点の具体化: 「〇〇の件で迷っています」だけでなく、「〇〇の件で、〜という点について具体的に迷っています」と伝えられるようにします。
- 自分で考えた案の用意: 迷っている点について、自分なりに考えた進め方や選択肢、代替案をいくつか用意します。「A案は〜というメリット・デメリットがあり、B案は〜です」のように整理します。たとえ自信がなくても、自分で考えたプロセスを示すことが大切です。
- 質問内容の明確化: 上司や先輩に何を聞きたいのか、どのような判断やアドバイスがほしいのかを明確にします。「〜についてご意見をいただけますでしょうか」「A案とB案、どちらの方向性で進めるのが適切でしょうか」「次に取るべきアクションをご指示いただけますでしょうか」など。
- 関連情報の準備: 相談する際に参照が必要になるであろう資料(指示書、これまでの作業結果、関連データなど)を手元に準備しておきます。
会話例(準備として): 「〇〇の資料作成の件。最新の売上データについて、期間を『直近1週間』とするか、『直近1ヶ月』とするかで迷っている。指示書では『最新』とだけあり、過去の資料では両方のパターンがあった。1週間ならすぐに集計できるが、1ヶ月の方がトレンドを捉えやすい。どちらの期間で進めるべきか、ご判断を仰ぎたい。」
ステップ3:適切なタイミングと相手選び
相談する相手とタイミングを選びます。
- 相手の状況確認: 上司や先輩が会議中でないか、他の業務で立て込んでいないかなど、状況を確認します。話しかける前に一度様子を伺う配慮も大切です。
- 早めの相談: 迷いを感じたら、問題が大きくなる前にできるだけ早く相談することが重要です。ギリギリになってからでは、軌道修正が難しくなる場合があります。
- 相談相手: 基本的には直属の上司に相談します。内容によっては、その業務に詳しい先輩や、過去に同じような業務を担当したことのある人に相談することも有効です。誰に相談すべきか迷う場合は、まず上司に「この件、どなたにご相談するのがよろしいでしょうか」と尋ねても良いでしょう。
- 切り出し方: 相手に時間があるかを確認してから本題に入ります。「今、少々お時間よろしいでしょうか」と声をかけます。
会話例: 「〇〇さん、今、少しお時間よろしいでしょうか。」 (相手が承諾したら) 「ありがとうございます。〇〇の件でご相談したいことがあります。」
ステップ4:相談の実施
準備した内容を分かりやすく伝えます。
- 結論から伝える: 何についての相談か、結論(相談したい内容)を最初に伝えます。
- 状況説明: 迷っている業務について、現在の状況と、具体的にどの部分で迷いが生じているかを説明します。
- 自己分析と案を提示: ステップ2で準備した、自分で考えた進め方や選択肢を提示します。「〜について、A案とB案を考えてみたのですが…」のように伝えます。自分で考えた案を伝えることで、主体的に業務に取り組んでいる姿勢を示すことができます。
- 質問と要望を明確に: 何についての判断やアドバイスがほしいのか、具体的に質問します。「A案とB案、どちらの方向性で進めるべきかご指示いただけますでしょうか」「〜について、何か他に考慮すべき点はありますでしょうか」など。
- 専門用語を避ける: 難しい専門用語は避け、相手に伝わりやすい言葉で話します。
会話例: 「〇〇の件でご相談です。現在、資料作成を進めておりますが、使用する売上データの期間について、直近1週間分とするか、直近1ヶ月分とするかで迷っております。 指示書では『最新』とありましたが、過去の資料では両方のパターンがあり、どちらが今回の目的に適切か判断しかねております。 私としては、1週間分のデータで素早くまとめる案と、1ヶ月分のデータでより詳細なトレンドを分析する案を考えたのですが、どちらの方向性で進めるのがよろしいでしょうか。何か考慮すべき点などあればご教示いただけますと幸いです。」
ステップ5:確認と記録
相談して得た指示やアドバイスの内容を正確に理解し、記録します。
- 復唱確認: 相談後、上司や先輩からの指示やアドバイスの内容を簡単に復唱し、自分の理解が合っているか確認します。「つまり、〜という理解で合っておりますでしょうか。」「〜という方向性で進めればよろしいでしょうか。」のように伝えます。
- メモ: 相談内容、指示・アドバイス、決定事項、次に取るべき具体的なアクション、期日などを必ずメモします。
- メールでの共有(必要に応じて): 相談内容が複雑な場合や、関係者が複数いる場合、あるいは念のため記録を残しておきたい場合は、相談後に内容を整理し、メールで共有することも有効です。「先ほどの〇〇の件につきまして、ご相談させていただきありがとうございました。〜という方向性で進める、という理解でおります。つきましては、〇〇までに〜を実施いたします。」といった形で送ります。
会話例: 「ありがとうございます。売上データは直近1ヶ月分を使用し、トレンド分析も行う方向性で進めればよろしいでしょうか。承知いたしました。この件につきましては、〇〇さんに協力を仰いでもよろしいでしょうか。承知いたしました。〜について確認し、〇〇までに資料を一旦まとめます。」
よくある疑問とその解決策
Q1:こんなこと聞いてもいいのだろうか?自分で調べるべきでは?
迷ったまま時間をかけて間違った方向に進むよりも、早い段階で相談する方が結果的に効率的であり、手戻りを防げます。もちろん、自分で調べたり考えたりする努力は必要ですが、それを踏まえた上で判断に迷う場合は、遠慮なく相談しましょう。上司や先輩は、あなたがスムーズに業務を進められるようにサポートしたいと考えています。
Q2:上司が忙しそうで話しかけづらいです。
忙しい中でも時間を取ってもらえるよう、相談内容を簡潔にまとめておくことが大切です。また、「今、〇〇の件で5分ほどご相談できますでしょうか。難しいようでしたら、後ほど改めてお声がけします。」のように、相手の状況を気遣う一言を添えることで、話を聞いてもらいやすくなります。チャットやメールで事前に「〇〇についてご相談したいのですが、いつ頃お時間いただけますでしょうか」とアポイントを取るのも有効です。
Q3:自分で考えた案が間違っていたら恥ずかしいです。
新社会人のうちは、完璧な案を出すことよりも、自分で考え、試行錯誤するプロセス自体が重要視されます。たとえ考えた案が適切でなくても、そのプロセスを示すことで、上司や先輩はあなたの思考を理解し、より的確なアドバイスを与えることができます。また、何が間違っていたのかを知ることで、次に活かすことができます。
まとめ
仕事の進め方に迷うことは、決して悪いことではありません。それは、あなたが真剣に業務に取り組んでいる証拠です。迷った時に立ち止まり、適切に報連相(特に相談)を行うことは、手戻りを防ぎ、業務を円滑に進めるために不可欠なスキルです。
今回ご紹介したステップ(状況整理、内容準備、相手選び・タイミング、相談実施、確認・記録)を参考に、迷った際には自信を持って上司や先輩に相談してみてください。相談は、業務を成功させるだけでなく、あなた自身の成長にも繋がる大切なコミュニケーションです。