これでスムーズ!新社会人のための複数タスク報連相:優先順位と伝え方
新社会人の皆様にとって、複数の業務やタスクを同時に進める機会は少なくないでしょう。一つ一つのタスクへの対応に加え、「今、自分は何をどれくらい抱えていて、どれから優先すべきか」を正確に把握し、周囲に伝えることは、報連相の重要な側面です。
特に、複数のタスクが同時進行している状況では、「どのタイミングで何を報告・連絡・相談すれば良いのか」「優先順位が分からなくなった」といった戸惑いが生じやすいものです。
ここでは、複数のタスクを抱えている状況での報連相について、具体的なステップと効果的な伝え方を解説します。この内容を参考に、日々の業務における報連相をスムーズに進めていきましょう。
なぜ複数タスクの報連相が重要なのか
複数のタスクがある状況で適切に報連相を行うことは、以下のようなメリットがあります。
- 業務の滞りを防ぐ: 状況を共有することで、上司や関係者があなたの状況を把握し、必要なサポートや指示を出しやすくなります。
- 優先順位の認識を合わせる: 自分で立てた優先順位が組織全体の優先順位とずれていないか確認し、手戻りや無駄な作業を防ぎます。
- 期日を守る: 抱えているタスク量や進捗状況を共有することで、無理なスケジュールになっていないか確認でき、遅延のリスクを早期に発見できます。
- 信頼関係を築く: 自身の状況を正直に伝えることで、周囲からの信頼を得やすくなります。
複数タスクを抱えた時の報連相ステップ
複数のタスクを同時に進める際の報連相は、以下のステップで進めると効果的です。
ステップ1:抱えているタスク全体を把握・整理する
まず、現在自分が担当している、または依頼されている全てのタスクをリストアップします。それぞれのタスクについて、以下の情報を明確にしましょう。
- タスクの名称・内容
- 期日(または期待される完了目標)
- 重要度(自分で判断できる範囲で)
- 現在の進捗状況
- 誰からの依頼か、誰に報告する必要があるか
手書きのメモやタスク管理ツール、スプレッドシートなど、自分が管理しやすい方法で整理すると良いでしょう。
- 整理の例:
- 案件Aに関する資料作成: 〇月〇日午後、〇〇部長、進捗50%
- 会議の議事録作成: 本日午前中、△△さん、未着手
- B社へのメール返信: 本日中、課長、ドラフト作成済み
- 社内システム利用マニュアル更新: 今週金曜日、システム部、情報収集中
ステップ2:自分なりの優先順位を検討する
整理した情報をもとに、どのタスクから取り組むべきか、自分なりに優先順位を検討します。優先順位を考える際の要素としては、以下のようなものがあります。
- 期日: 期日が近いもの、または「本日中」など緊急性の高いもの。
- 重要度: 業務全体への影響が大きいもの、お客様や関係者の待ち時間が生じるもの。
- 所要時間: 短時間で終わるもの(サッと片付けてしまう)。
- 依存関係: 他の人があなたのタスク完了を待っているもの。
ただし、新社会人のうちは自分で完璧な優先順位を判断するのは難しい場合があります。あくまで「自分ならこう考える」という検討段階としてください。
ステップ3:上司や関係者に状況を報告・相談する
タスクの全体像と自分なりの優先順位案が整理できたら、報連相を行います。特に、以下のような場合は積極的に報連相をしましょう。
- 新しいタスクを依頼されたが、既に複数のタスクを抱えている場合
- 複数のタスクの期日が近く、一人で対応が難しいと感じる場合
- タスクの優先順位について判断に迷う場合
- タスクの進捗が計画より遅れているものがある場合
報連相する際は、以下の点を意識すると、状況が伝わりやすくなります。
- 全体像をまず伝える: 現在抱えているタスクが複数あることを伝えます。
- 具体的なタスク内容を伝える: 各タスクの名称、期日、現状を簡潔に伝えます。整理したリストを見せるのも有効です。
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相談したい内容を明確にする: 優先順位の確認、期日調整の可能性、サポート依頼など、具体的に何を相談したいかを伝えます。
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会話例1:新しいタスクを依頼された時
- あなた:「〇〇さん、今よろしいでしょうか。先ほどご依頼いただいた△△の件についてご相談させていただけますでしょうか。」
- 上司:「はい、何ですか。」
- あなた:「ありがとうございます。承知いたしました。現在、××の資料作成と□□への連絡業務を進めております。××は本日午後、□□は明日午前中が完了目標です。△△の件は緊急とのことですが、これらと並行して本日中に対応可能か、あるいは他のタスクの優先順位を調整すべきか、ご指示いただけますでしょうか。」
- 上司:「なるほど、状況を教えてくれてありがとうございます。では、△△を最優先でお願いします。××と□□については、期日をそれぞれ明日の午前と明後日に調整しましょう。」
- あなた:「承知いたしました。△△を最優先で進め、××と□□については期日を調整させていただきます。ありがとうございます。」
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会話例2:複数の期日が近く、対応が難しくなりそうな時
- あなた:「課長、今、お時間少しいただけますでしょうか。現在担当している業務の進捗についてご報告とご相談がございます。」
- 課長:「はい、どうぞ。」
- あなた:「ありがとうございます。現在、A案件の報告書作成(期日:本日夕方)と、B案件のデータ入力(期日:本日中)を並行して進めております。どちらも期日が迫っており、現状ですと本日中の完了が難しいかもしれません。特にA案件は〜の作業に時間がかかっております。」
- 課長:「そうですか。状況を教えてくれて助かります。」
- あなた:「はい。つきましては、B案件の期日を明日午前中まで延長していただくか、どなたかにデータ入力をサポートしていただくことは可能でしょうか。現状をご報告し、ご相談させていただきたくご連絡いたしました。」
- 課長:「分かりました。B案件のデータ入力は、他のメンバーに一部手伝ってもらうように調整しますね。あなたはA案件に集中してください。」
- あなた:「ありがとうございます。B案件のサポートについて承知いたしました。A案件に注力し、本日夕方までに完了できるよう進めます。」
このように、単に「忙しい」「終わりそうにない」と伝えるのではなく、具体的に「何を」「いつまでに」「どの程度進んでいて」「何に困っていて」「どうしたい(どうしてほしい)か」を明確に伝えることが重要です。
複数タスク報連相の工夫とポイント
- 定期的な状況報告: 複数のタスクを抱えている場合は、個別の進捗報告に加え、週の初めや終わりに「今週抱えているタスク一覧と見込み」などを簡単に報告する機会を設けることも有効です。
- ツールを活用した可視化: タスク管理ツールや共有できるリストを使うと、上司や関係者がいつでもあなたのタスク状況を確認できるようになり、報連相の手間を減らせる場合があります。
- 優先順位の確認は遠慮なく: 自分で判断がつかない場合は、必ず上司に確認しましょう。間違った優先順位で進めて手戻りが発生する方が、結果的に大きなロスになります。
- 「報」だけでなく「相」も積極的に: 困ったこと、迷うことは早めに相談することが、タスクを滞りなく進める鍵です。
よくある疑問
Q: 抱えているタスク全てを細かく報告する必要があるのでしょうか?
A: 基本的には、期日が近いもの、重要度の高いもの、進捗に懸念があるものなど、上司が状況を把握しておくべきタスクを中心に報告します。日々の定型業務など、特に問題がなければ省略しても問題ありません。ただし、あなたが現在抱えているタスクの総量や種類を上司が把握しておく必要がある場合は、一覧を共有することも有効です。報告する粒度や頻度については、上司やチームの習慣に合わせて調整しましょう。迷う場合は「現在、A, B, Cのタスクを抱えております。それぞれの進捗状況を報告させていただきますが、何か特に気にされているタスクはございますでしょうか?」のように確認するのも良い方法です。
Q: 複数のタスクで手がいっぱいになりそうな場合、いつ相談すれば良いですか?
A: 「手がいっぱいになりそう」と感じた時点ですぐに相談しましょう。実際に手いっぱいになってからでは、状況のリカバリーが難しくなります。早期に相談することで、上司は他のメンバーにサポートを依頼したり、期日を調整したりといった対策を取りやすくなります。遠慮せず、「現状、担当している業務が〇件あり、このままだと△△の期日対応が難しくなる可能性があります。状況をご報告し、ご相談させていただきたくご連絡いたしました。」と早めに伝えることが大切です。
まとめ
複数のタスクを抱えることは、新社会人にとって珍しいことではありません。この状況で大切なのは、一人で抱え込まず、自身の状況を正確に把握し、周囲と適切に共有することです。
タスクの整理、自分なりの優先順位検討、そして上司への具体的な報告・相談をステップとして実践することで、複数のタスクもスムーズに進めることができるようになります。特に優先順位や対応可否に迷った際は、遠慮なく相談することを心がけてください。
状況を可視化し、タイムリーに報連相を行うことは、自身の業務遂行だけでなく、チーム全体の連携強化にも繋がります。今回解説した内容を参考に、自信を持って複数タスクの報連相に取り組んでいきましょう。