期日指定がない・曖昧な仕事の新社会人のための確認・報連相ステップ
仕事の指示を受けた際、期日が明確に伝えられない場合があります。また、複数の業務を抱える中で、自分で優先順位や期日を判断する必要が出てくることもあります。新社会人の方にとって、このような状況でどのように確認し、報連相すれば良いか迷うことは自然なことです。しかし、期日に関する認識のずれは、後々のトラブルや業務遅延の原因となる可能性があります。
このステップでは、期日指定がない・曖昧な仕事について、適切に確認し報連相を行うための具体的な手順と会話例を解説します。
なぜ期日確認が重要なのか
期日確認は、単にいつまでにやれば良いかを知るためだけではありません。
- 業務の優先順位を判断できる: 他の業務との兼ね合いを考え、効率的に仕事を進めるために必要です。
- 計画的に作業を進められる: 逆算してタスクを分解し、無理なく期日内に完了させるための計画を立てやすくなります。
- 関係者との連携がスムーズになる: 自分の業務の完了が、他の人の作業開始条件になっている場合などに、期日の共有は不可欠です。
- 不要なトラブルを防ぐ: 「いつまでにできると思っていた」といった認識のずれをなくし、納期遅延などの問題を未然に防ぐことにつながります。
ステップ1:指示を受けた直後に基本情報を確認する
仕事の指示を受けたら、まず基本的な情報をその場で確認することが望ましいです。特に重要なのは、期日と目的です。期日が明確に伝えられなかったり、曖昧だったりする場合は、その場で質問します。
確認するポイント
- タスクの目的: なぜこのタスクを行うのか、何のために必要か。
- 期日: いつまでに完了させる必要があるか。
- 完了の定義: 「完了」とはどの状態を指すのか。
会話例:期日が伝えられなかった場合
上司:「〇〇の資料作成をお願いできますか。」 自分:「承知いたしました。〇〇の資料作成ですね。この資料はどのような目的で使用されるのでしょうか。」 上司:「△△会議で使う予定です。」 自分:「承知いたしました。△△会議で使用されるのですね。会議が開催されるのが来週月曜日とのことですが、この資料はいつまでに作成すればよろしいでしょうか。」 上司:「ああ、そうですね。会議の前日まで、来週金曜日までに作成してもらえますか。」 自分:「承知いたしました。来週金曜日までに作成いたします。」
会話例:期日が曖昧な場合
上司:「〇〇の調査を、できれば早めにお願いします。」 自分:「承知いたしました。〇〇の調査ですね。「早めに」とのことですが、具体的にいつ頃までをイメージされておりますでしょうか。他の業務との兼ね合いもあり、確認させていただけますと幸いです。」 上司:「そうですね。来週中には結果が知りたいですね。」 自分:「承知いたしました。来週金曜日までに調査結果を報告させていただきます。」
ステップ2:自分で期日を判断・提案する必要がある場合
指示を受けた際に具体的な期日指定がなく、「終わったら教えて」「〇〇の準備ができ次第」といった形で指示されることもあります。また、複数のタスクを抱えており、自分で優先順位をつけて取り組む必要がある場合もあります。このような場合は、自分で期日を判断し、上司に確認・提案するという報連相が必要になります。
期日を判断するための考慮事項
- タスクの優先度: そのタスクが他のタスクと比較してどのくらい重要か。
- 緊急度: そのタスクをすぐに取り組む必要があるか。他の人の作業や外部とのやり取りに影響するか。
- 所要時間: そのタスクを完了させるのにどのくらい時間がかかるか、自分で見積もります。不明な場合は、概算でも構いませんが、根拠(例:過去の類似作業、必要な情報収集時間など)を考えます。
- 他のタスクとの兼ね合い: 現在抱えている他のタスクの期日や所要時間を考慮し、現実的にいつまでに完了できるか判断します。
これらの要素を考慮し、「〇日までに完了できそうだ」という期日を自分で設定してみます。
ステップ3:自分で判断した期日を報連相する(提案型報連相)
自分で期日を設定したら、その期日で問題ないか、上司に確認・提案します。これは、自分が考えた期日を勝手に決定するのではなく、「この期日で進めたいと考えていますが、いかがでしょうか」と確認を仰ぐ報連相です。
報連相の構成
- 何の件か: どのタスクに関する報連相か明確にします。
- 現状: 現在の状況や、期日を判断するために考慮した点を簡潔に伝えます(例:他の業務との兼ね合い、所要時間見積もりなど)。
- 提案する期日: いつまでに完了させたいかを具体的に示します。
- 確認・相談: その期日で進めて問題ないか、上司の意向を確認します。
会話例:自分で判断した期日を提案する場合(口頭)
自分:「〇〇の件でご相談させてください。」 上司:「はい。」 自分:「先ほどご指示いただいた〇〇の資料作成についてですが、△△の業務と並行して進めております。資料作成には〇時間程度かかると見込んでおりまして、他の業務との兼ね合いを考えますと、明日の終業時までに完了させることが可能と考えております。」 上司:「なるほど。」 自分:「つきましては、明日の終業時を期日として進めてもよろしいでしょうか。」 上司:「分かりました。それでお願いします。」 自分:「承知いたしました。明日の終業時までに完了させます。」
会話例:自分で判断した期日を提案する場合(チャット・メール)
件名:〇〇の件:期日に関するご相談(氏名)
〇〇さん(上司の名前)
お疲れ様です。△△です。(自分の名前)
先日ご指示いただきました〇〇の件について、期日に関するご相談です。
このタスクにつきまして、現在進めている△△の業務と並行して取り組んでおります。作業には〇時間程度を要すると見込んでおります。
つきましては、明日の終業時(〇月〇日)を完了の目処として進めたいと考えておりますが、この期日で問題ございませんでしょうか。
ご確認いただけますと幸いです。
よろしくお願いいたします。
ステップ4:期日内に完了が難しい場合の報連相(再調整)
自分で期日を判断し、あるいは上司と合意した期日であったとしても、途中で想定外の事態が発生したり、他の優先度の高い業務が入ったりして、期日内に完了が難しくなることもあります。このような場合、早めの報連相が非常に重要です。
報連相の構成
- 何の件か: どのタスクの期日に関する報連相か明確にします。
- 期日内の完了が難しいという結論: まず結論を伝えます。
- 原因と状況: なぜ期日内に完了が難しいのか、具体的な理由と現在の状況を説明します。
- 対応策の提案: どのような対応を取るか、またはどのくらい遅れる見込みか、具体的な新しい期日を提案します。
- 確認・相談: 提案した対応策や新しい期日で問題ないか、上司の指示を仰ぎます。
会話例:期日調整の報連相(口頭)
自分:「〇〇の件でご報告がございます。」 上司:「はい、どうぞ。」 自分:「〇日を期日として進めておりました〇〇の資料作成ですが、期日内の完了が難しくなりました。大変申し訳ございません。」 上司:「そうですか。どうしましたか。」 自分:「△△の機能に関する情報収集に想定以上に時間を要しており、まだ一部情報が集まっていない状況です。このままですと、資料の〇〇の部分が期日までに完成できそうにありません。」 上司:「なるほど。いつまでならできそうですか。」 自分:「〇〇の機能については、明日午前中には情報が集まる見込みです。そのため、明日の終業時までには資料全体を完成させることが可能と考えております。明日の終業時を新しい期日とさせていただいてもよろしいでしょうか。」 上司:「分かりました。では、明日終業時までに報告してください。」 自分:「承知いたしました。明日の終業時までに完了させ、ご報告いたします。」
会話例:期日調整の報連相(チャット・メール)
件名:【重要】〇〇の件:期日変更のご相談(氏名)
〇〇さん(上司の名前)
お疲れ様です。△△です。(自分の名前)
〇月〇日を期日として進めております〇〇の件について、期日内の完了が難しい状況となりましたため、ご報告とご相談がございます。大変申し訳ございません。
原因としましては、△△の機能に関する情報収集に想定より時間がかかっており、現時点で〇〇の部分の情報収集が終わっていない状況です。
つきましては、新しい完了予定日としましては、明日の終業時(〇月〇日)を考えております。明日の午前中には必要な情報収集が完了する見込みです。
お手数をおかけいたしますが、上記期日での対応で問題ございませんでしょうか。
ご確認いただけますと幸いです。
よろしくお願いいたします。
よくある疑問
期日を聞き忘れてしまったらどうすればいいですか?
指示を受けた直後に聞き忘れた場合でも、気づいた時点で速やかに確認することが重要です。「先ほどご指示いただきました〇〇の件について、一点確認させてください。期日はいつまででしたでしょうか。」のように、丁寧にお詫びを添えつつ確認します。時間が経過しすぎると、相手も指示内容をすぐに思い出せない場合があるため、できるだけ早く確認しましょう。
自分で期日を設定して、報告せずに勝手に進めても大丈夫ですか?
原則として、重要な業務や、他の人に影響する業務、上司が状況を把握しておく必要がある業務については、自分で判断した期日でも必ず報連相・確認を行います。自分で設定した期日が上司の想定と異なっていた場合、後々認識のずれが生じ、トラブルにつながる可能性があるためです。自分で期日を決めて良いのは、ルーティンワークなど、あらかじめ期日や手順が決まっている場合や、完全に個人の裁量に任されているごく限定的なケースだと考えましょう。
忙しそうな上司に期日を聞くタイミングが分かりません。
上司が会議中や、他の人との電話中など、明らかに話しかけられない状況は避けます。相手が資料を読んでいたり、PC作業をしていたりする場合でも、まずは「〇〇さん、少々お時間よろしいでしょうか。」と声をかけ、今話せる状況か確認します。口頭で話すのが難しい場合は、チャットやメールを活用することも有効です。ただし、緊急性が高い場合は、状況を判断し、タイミングを見計らって声をかける必要があります。
まとめ
期日に関する確認と報連相は、仕事をスムーズに進める上で非常に大切なスキルです。指示を受けた直後の確認、自分で期日を判断する際の考慮事項、そして上司への提案や調整の報連相は、期日に関する認識のずれを防ぎ、信頼関係を築くための一歩となります。
期日について迷ったり、判断に困ったりした場合は、一人で抱え込まず、この記事で解説したステップを参考に、積極的に上司に確認・相談してみてください。丁寧な報連相を心がけることで、きっと安心して業務に取り組めるようになるでしょう。