これでスムーズ!新社会人のための電話報連相:かける・受ける・伝えるコツ
電話での報連相は、ビジネスシーンにおいて非常に重要なコミュニケーション手段の一つです。特に新社会人の方にとって、電話は顔が見えない分、少し難しく感じるかもしれません。しかし、基本を押さえて適切な電話報連相を習得することは、スムーズな業務遂行と信頼関係の構築に不可欠です。
この記事では、新社会人の方が自信を持って電話での報連相を行えるよう、電話を「かける」場合と「受ける」場合それぞれの基本と具体的なステップ、伝える際のコツを解説します。
電話を「かける」場合の報連相ステップ
電話をかける前には、目的を明確にし、準備をしっかりと行うことが大切です。
ステップ1:事前の準備をする
- 目的と要件の整理: なぜ電話をするのか、相手に何を伝えたいのか、何を確認したいのかを具体的に整理します。複数の要件がある場合は、優先順位や話す順番を決めておきます。
- 伝える情報の準備: 相手に伝えたい情報(例えば、報告内容、質問内容、確認したい事項、関連資料の有無など)を手元に準備します。数値や固有名詞などは正確に伝えられるようにしておきます。
- メモ用紙と筆記用具の準備: 相手からの指示や確認事項、次にとってほしい行動などを正確に記録するため、必ず手元に準備します。
- 想定される質問への準備: 相手から聞かれそうなことに対して、あらかじめ答えを用意しておくとスムーズです。
ステップ2:かけるタイミングを見計らう
相手が忙しい時間帯(始業直後、終業間際、お昼休み前後など)を避けるのが一般的です。緊急の場合を除き、相手の業務状況を考慮してかける時間を決めます。迷う場合は、チャットやメールで「〇〇の件で少々お伺いしたいのですが、〇分ほどお時間をいただけますでしょうか。お電話差し上げてもよろしいでしょうか」のように、事前に電話可能かを確認するのも丁寧です。
ステップ3:話し始め(名乗りと状況確認)
電話がつながったら、まずは自分の名前(会社名・部署名)を正確に伝えます。そして、相手が今話せる状況かを確認します。
- 会話例: 「お世話になっております。〇〇会社の△△部、〇〇(自分の名前)です。□□様(相手の名前)でいらっしゃいますか。」 (相手「はい、□□です。」) 「ただ今、少々お時間よろしいでしょうか。」 (相手「はい、大丈夫です。」または「申し訳ございません、〇分後に改めていただけますか。」)
相手が忙しい場合は、改めてかけ直す時間を確認するか、「それでは改めてお電話いたします。ありがとうございました。」と一旦電話を切ります。
ステップ4:要件を伝える(結論から)
相手が話せる状況であれば、すぐに本題に入ります。この時、結論から先に伝えることを意識します。
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会話例(報告の場合): 「先日ご指示いただきました、〇〇の件でご報告いたします。」 「結論から申し上げますと、△△の対応が完了いたしました。」 「詳細ですが、〇〇については□□を行い、問題なく進んでおります。」 (続けて具体的な状況を簡潔に伝える)
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会話例(質問の場合): 「先日いただいた資料の××ページについて、一点ご質問がございます。」 「大変恐縮ですが、この△△の部分は□□という理解で合っておりますでしょうか。」 (詳細な状況説明は、相手が質問の意図を把握してから加える)
ステップ5:確認と質疑応答
自分が伝えた内容が正しく伝わっているか、相手の理解度を確認します。また、相手からの質問には正確に答えます。曖昧な場合は、すぐに断定せず「確認いたします」と伝えます。
- 会話例: 「以上が現在の状況でございます。」 「何かご不明な点はございますでしょうか。」 「承知いたしました。〇〇については、△△で対応いたします。」
ステップ6:終わりの挨拶
要件が全て完了したら、相手への感謝を伝え、丁寧に電話を終えます。相手が先に電話を切るのを待つのが一般的です。
- 会話例: 「本日はお忙しいところ、ありがとうございました。」 「引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。」 (相手が電話を切るのを確認してから、静かに受話器を置く)
電話を「受ける」場合の報連相ステップ
会社にかかってきた電話を受ける場合も、迅速かつ正確な対応が求められます。
ステップ1:迅速な応対と名乗り
電話が鳴ったら、可能な限り早く(目安としてコール3回以内)受話器を取り、明るい声で会社名・部署名と自分の名前を名乗ります。
- 会話例: 「はい、〇〇会社△△部でございます。」 「〇〇会社△△部、〇〇(自分の名前)でございます。」
ステップ2:相手の確認と要件の聞き取り
相手の名前と会社名を確認し、どのような要件かを聞き取ります。聞き取りながら、必ずメモを取ります。
- 会話例: 「恐れ入りますが、お名前をお伺いできますでしょうか。」 「〇〇会社の□□様でいらっしゃいますね。」 「どのようなご用件でしょうか。」
ステップ3:担当者への引き継ぎ・不在時の対応
要件を聞き、担当者が決まっている場合は、担当者に取り次ぎます。担当者が不在の場合は、戻る時間や伝言を聞き、相手に不便をかけないように対応します。
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会話例(担当者がいる場合): 「〇〇の件で□□と弊社の担当△△にお繋ぎいたします。少々お待ちください。」 (保留にして担当者に電話の内容を伝える) 「大変お待たせいたしました。担当の△△に代わります。」
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会話例(担当者が不在の場合): 「申し訳ございません。あいにく△△は本日外出しております。」 「〇時には戻る予定でございます。」 「恐れ入りますが、よろしければ私〇〇がご用件を承り、△△に申し伝えましょうか。」 「△△の携帯電話にご連絡いたしましょうか。」 「恐れ入りますが、〇〇様のお電話番号をいただけますでしょうか。△△に戻り次第、こちらから折り返させます。」
ステップ4:受けた内容の報連相
電話で受けた内容(誰から、誰への、どのような用件か)を、担当者や関係者に正確かつ迅速に報連相します。不在の担当者への伝言メモは、後で見た人がすぐに理解できるよう、5W1H(いつ、誰が、誰に、何を、なぜ、どのように)を意識して具体的に記述します。
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伝言メモの項目例:
- 日付・時間
- 相手の会社名・部署名・氏名
- 相手の連絡先(電話番号など)
- 担当者名
- 用件の簡単なまとめ
- 対応(折り返し希望か、伝言で良いかなど)
- 自分の名前
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口頭での報連相例: 「△△さん、先ほど〇〇会社の□□様からお電話がありました。」 「××の件で、△△さんに確認したいことがあるとのことでした。」 「連絡先はこちらです。折り返しをお願いします、とおっしゃっていました。」
電話報連相における伝えるコツ
- 結論・要件を最初に伝える: 相手は忙しいことが多いです。何についての電話か、一番伝えたいことは何かを最初に明確にすることで、その後の話がスムーズに進みます。
- 専門用語は避ける、または解説を加える: 相手が必ずしも同じ部署や専門知識を持っているとは限りません。部署内でしか使わない略語や専門用語は避け、誰にでも理解できる言葉で話すか、簡単な説明を加えます。
- 具体的かつ簡潔に: ダラダラと長く話すのではなく、必要な情報を具体的かつ簡潔に伝えます。メモを見ながら話すのも効果的です。
- 声のトーンとスピード: 明るく聞き取りやすいトーンで話します。早口になりすぎず、相手が理解しやすいスピードを心がけます。
- 重要な点は復唱して確認する: 日時、場所、金額、名前、決定事項など、重要な情報は相手の言葉を復唱して確認することで、聞き間違いや認識の齟齬を防ぎます。
よくある疑問と対応
- 相手が忙しそうだった場合: 「お忙しいところ恐縮です」と前置きし、手短に済ませるか、改めて電話できる時間を確認します。「〇分だけお時間をいただけますでしょうか」のように具体的な時間を伝えるのも丁寧です。
- 相手の声が聞き取りにくかった場合: 無理に聞き取ったふりをせず、正直に伝えます。「恐れ入ります、少々お電話が遠いようです」「申し訳ございません、少しお声が聞き取りにくく、もう一度お聞かせいただけますでしょうか」のように丁寧にお願いします。
- 敬語の使い分けに迷う場合: 基本的には丁寧語(です・ます)と尊敬語・謙譲語を適切に使います。特に相手や相手の会社については尊敬語(いらっしゃる、おっしゃる、〜されるなど)、自分や自分の会社については謙譲語(おります、申します、〜いたしますなど)を使います。自信がない場合は、丁寧語を基本としつつ、失礼のない言葉を選ぶように心がけます。
- 保留や内線転送: 電話を保留にする際は「少々お待ちください」と伝え、保留時間も短く済むようにします。内線転送する際は「〇〇部の△△にお繋ぎいたします。内線番号は〇〇です」のように伝え、相手が理解しやすいようにします。
まとめ
電話での報連相は、相手の状況を把握し、要件を整理した上で、正確かつ丁寧に伝えることが基本です。電話をかける際には事前の準備と結論からの伝達、電話を受ける際には迅速な応対と正確な聞き取り・伝達が重要です。
すぐに全てを完璧に行うのは難しいかもしれませんが、これらのステップを意識し、一つずつ実践していくことで、自信を持って電話報連相ができるようになります。電話でのスムーズなコミュニケーションは、ビジネスにおける信頼獲得への第一歩となるでしょう。