これで安心!複数の指示・依頼が重なった時の新社会人のための報連相ステップ
複数の上司や部署から同時に異なる指示や依頼を受けることは、社会人として仕事を進める上でよくある状況です。特に新社会人のうちは、「どれを優先すれば良いのだろう」「誰に確認すれば良いのだろう」と迷ってしまうかもしれません。
このような状況で適切な報連相を行うことは、スムーズに業務を進め、関係者との信頼関係を築くために非常に重要です。ここでは、複数の指示や依頼が重なった際に新社会人がどのように対応し、報連相を行えば良いのかを、具体的なステップで解説します。
なぜ複数の指示・依頼が重なるのか
会社では、チームや部署を超えて様々な業務が同時進行しています。そのため、複数の人からあなたへ指示や依頼が集中することは珍しくありません。これは、あなたが頼りにされている証拠でもありますが、適切に対応しないと、期日遅れや手戻り、関係者の混乱を招く可能性があります。
複数の指示・依頼が重なった時の報連相ステップ
複数の指示や依頼が重なった時に、混乱せず適切に対応するためのステップは以下の通りです。
ステップ1:全ての指示・依頼内容を把握し、整理する
まず、受け取った全ての指示や依頼の内容を正確に把握することが最初のステップです。口頭、メール、チャットなど、受け取り方は様々だと思いますが、それぞれの内容を一つにまとめ、整理しましょう。
整理する際に確認・メモしておきたい項目は以下の通りです。
- 誰からの指示・依頼か(指示元、部署名)
- 具体的な依頼内容(何をするのか)
- 期日(いつまでに完了する必要があるのか)
- 目的や背景(何のためにその作業が必要なのか、分かればで構いません)
- 関連する情報(参考資料や、この作業によって影響を受ける人・タスクなど)
一つのリストやメモ帳に書き出すと、全体像が見えやすくなります。
- 整理の例:
- Aさん(営業部):資料作成(期日:明日午前中)
- B部長(直属):会議準備(期日:明後日午前中)
- C先輩(チーム):データ入力(期日:来週金曜日)
このように整理することで、「今、自分はこれだけのタスクを抱えている」という状況を客観的に把握できます。
ステップ2:現状の自分のタスクと照らし合わせる
次に、ステップ1で整理した新しい指示・依頼と、現在あなたが抱えている既存のタスク(他の業務、進行中の作業など)を照らし合わせます。
- 現在、他にどのようなタスクを進めているか
- それぞれのタスクの進捗状況はどうか
- それぞれのタスクにどのくらいの時間が必要そうか
これらの情報を踏まえ、新しい指示・依頼を全て期日通りに完了できるか、物理的に可能かを検討します。
ステップ3:優先順位の仮判断を行う(難しい場合は無理しない)
整理した内容と現状を踏まえて、自分の中で「おそらくこれが優先度が高いだろう」という仮の優先順位を考えてみます。判断の材料になるのは、主に以下の点です。
- 期日が近いもの、または「急ぎ」と指定されたもの
- 指示元の役職が高い方からのもの(ただし、役職だけで判断せず、重要度や緊急度も考慮が必要です)
- そのタスクが遅れることで、他の人の作業や全体の流れに大きな影響が出るもの
しかし、新社会人のうちは、タスクの重要度や緊急度を正確に見極めるのは難しい場合が多いです。無理に自分で判断しようとせず、「これは自分では判断できないな」「誰に確認すれば良いだろう」と感じた場合は、その段階で報連相の準備に進みましょう。
ステップ4:誰に、何を報連相するか準備する
複数の指示・依頼が重なった状況を報連相する相手として、最も基本的なのはあなたの直属の上司です。上司はあなたの業務全体を把握しており、適切な優先順位を判断する権限を持っています。
報連相で伝えるべき内容は以下の通りです。
- 現在の自分の業務状況(抱えている既存タスクと進捗)
- 新たに受けた全ての指示・依頼の内容(ステップ1で整理したリストを見せながら説明すると分かりやすいです)
- 自分で考えた仮の優先順位案(もしあれば)
- 判断に迷っている点、確認したい点(どのタスクを優先すべきか、期日調整が必要かなど)
伝える手段としては、状況に応じて口頭、チャット、メールなどを使い分けます。緊急度が高い場合や、その場で状況を説明して判断を仰ぎたい場合は口頭が適切です。情報量が多い場合や、内容を記録として残したい場合はメールやチャットが適しています。
ステップ5:上司に相談し、指示を仰ぐ(会話例)
準備した内容をもとに、直属の上司に報連相を行います。アポイントを取るか、上司の状況を見て声をかけます。
会話例:
あなた:「お忙しいところ恐れ入ります。少しお時間を頂戴できますでしょうか。」
上司:「はい、どうぞ。」
あなた:「ありがとうございます。現在〇〇の業務を進めておりますが、本日、営業部のAさんから△△の資料作成、〇〇部長から□□の会議準備について、それぞれ指示・依頼をいただきました。」
あなた:「(ステップ1で整理したリストを見せながら)それぞれの内容は、こちらに整理しております。期日が近く、また現在の業務との兼ね合いもあり、どのように優先順位をつけて進めるのが適切か、ご判断を仰ぎたくご相談に上がりました。」
上司:「なるほど、状況は分かりました。では、それぞれの内容について詳しく聞かせてください。現在の〇〇業務はどこまで進んでいますか?」
あなた:「はい、〇〇業務は現在△割ほど完了しており、明日午前中に完了の見込みです。」
上司:「分かりました。Aさんからの資料作成は明日午前中が期日ですね。会議準備は明後日午前中と。では、まずはAさんの資料作成を最優先で進めてください。それが終わり次第、〇〇業務の続きを行い、それが完了したら〇〇部長からの会議準備に取り掛かりましょう。C先輩からのデータ入力は来週期日なので、それらの後に取り組んでください。」
あなた:「承知いたしました。Aさんからの資料作成を最優先で進め、完了次第〇〇業務、その後〇〇部長からの会議準備、最後にC先輩からのデータ入力という順番で進めてまいります。」
上司:「はい、その順番でお願いします。もし途中で何か問題が発生したり、期日が難しくなりそうだったりした場合は、その都度すぐに報告してください。」
あなた:「かしこまりました。ご指示ありがとうございます。」
このように、具体的な状況を伝え、上司の判断を仰ぐことで、複数の指示に適切に対応することができます。
ステップ6:各指示元へ状況や調整結果を共有する(会話例)
上司から優先順位の指示を受けたら、必要に応じて各指示元に現在の状況や、今後の進め方、期日に関する調整結果などを共有します。特に期日通りに対応できない可能性がある場合は、必ず連絡が必要です。
会話例(営業部Aさんへ、期日通り対応が難しい場合):
あなた:「Aさん、先ほどは資料作成のご依頼ありがとうございました。ご依頼いただいた資料作成の件ですが、現在並行して進めている業務がいくつかあり、ご提示いただいた明日午前中の期日での完了が難しい状況です。直属の上司に相談しましたところ、他の優先すべき業務があるため、この資料に着手できるのが明日午後になる見込みです。つきましては、明日の終業時間までにご提出させていただく形でもよろしいでしょうか。難しいようでしたら、大変恐縮ですが、他の方にお願いするか、期日についてご相談させていただければと存じます。」
このように、単に「できません」と伝えるのではなく、
- 依頼を受けたことへの感謝
- なぜ期日通りに対応が難しいのかという理由(正直かつ簡潔に)
- 代替案(いつなら可能か)
- 相手にどうしてほしいか(調整可能か、他を当たるかなど)
を具体的に伝えることで、相手も状況を理解しやすくなり、円滑なコミュニケーションにつながります。
ステップ7:確認した内容を記録に残す
上司との相談で決まった優先順位や期日、各指示元との調整内容などは、必ずメモを取るか、必要であればメールなどで関係者に共有し、記録として残しておきましょう。後で振り返る際に役立ちますし、「言った」「言わない」といった誤解を防ぐことにもつながります。
新社会人が抱えやすい疑問と対応
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Q:誰に報連相すれば良いか迷います。指示元全てに伝えるべきですか? A:基本的に、まずは直属の上司に状況をまとめて相談するのが最も適切です。上司はあなたの業務全体を管理しており、会社全体の優先順位も踏まえて判断を下すことができます。上司への相談後、必要に応じて各指示元に上司の指示内容や調整結果を伝えましょう。
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Q:指示元に直接「他の業務があるからできません」と伝えても良いですか? A:他の業務との兼ね合いで対応が難しい場合は、まずは直属の上司に相談し、指示を仰ぐのが基本です。上司の許可なく断ったり、自己判断で期日を調整したりするのは避けましょう。上司の指示を受けてから、「上司と相談した結果、〇〇の指示により、ご依頼いただいた件は△△まで対応が難しい状況です。」のように伝えるのが丁寧です。
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Q:緊急度が高い指示と、重要な指示が重なった場合、どちらを優先すべきですか? A:自分で判断が難しい場合は、必ず直属の上司に相談してください。多くの場合、上司が全体的な状況や業務の重要度、他への影響などを踏まえて適切な判断を下してくれます。
まとめ
複数の指示や依頼が重なった状況は、新社会人にとって判断が難しい場面かもしれません。しかし、状況を正確に把握・整理し、迷わず直属の上司に相談するというステップを踏むことで、混乱を避けることができます。
重要なのは、自分で抱え込まず、早めに報連相を行うことです。適切な報連相を通じて、優先順位を明確にし、関係者と連携しながら着実に業務を進めていきましょう。この経験を積むことで、タスク管理能力やコミュニケーション能力も向上し、さらに自信を持って仕事に取り組めるようになるはずです。