もう迷わない!新社会人のための質問・相談のタイミングと伝え方
新社会人として働き始めると、分からないことや判断に迷う場面が多く出てきます。そのような時に重要になるのが、上司や先輩への質問や相談です。しかし、「こんな初歩的なことを聞いて良いのだろうか」「忙しそうなのに声をかけても迷惑ではないか」といった不安から、質問や相談をためらってしまうこともあるかもしれません。
適切な質問や相談は、業務を円滑に進め、自身の成長を促すために非常に大切です。ここでは、新社会人が自信を持って質問・相談できるようになるためのステップと、具体的な方法について解説します。
なぜ質問・相談は重要なのか
質問や相談は、単に分からないことを解消するためだけではありません。
- 業務の正確性向上: 誤った判断や作業ミスを防ぐことができます。
- 問題の早期発見・解決: 疑問を放置せず、早い段階で解消することで、後々の大きな問題化を防げます。
- 成長の促進: 他者の知識や経験を学ぶことで、自身のスキルや理解が深まります。
- 信頼関係の構築: 困っていることを正直に伝えることで、周囲からのサポートを得やすくなります。
質問・相談の前に確認すること:まずは自分で考える
質問や相談をする前に、まずは自分で問題解決を試みることが重要です。
- 情報を整理する: 何が分からないのか、何に困っているのかを具体的に整理します。不明確な点をリストアップしてみましょう。
- 自分で調べる・考える: 過去の資料やマニュアルを確認したり、インターネットで検索したりして、自分で答えを見つけられないか試みます。自分でいくつか解決策を考え、それぞれのメリット・デメリットを比較検討することも有効です。
- 自分で試す(可能な場合): 安全な範囲で、考えられる方法を試してみることも学びにつながります。
自分で考える過程を経ることで、質問内容がより明確になり、解決策を見つける力も養われます。それでも分からない場合や、判断に迷う場合、自分で判断するのが危険な場合に、質問・相談を行います。
質問・相談のタイミング:相手への配慮を忘れない
質問や相談のタイミングは非常に重要です。相手の状況を見極め、失礼にならないよう配慮しましょう。
- 相手が集中している時間帯は避ける: 会議中、お客様との電話中、難しい資料作成に集中している様子などが見られる場合は、少し待つのが良いでしょう。
- 手が空きそうなタイミングを見計らう: 作業が一区切りついた様子や、席を立った時などがチャンスかもしれません。
- 朝一番や業務終了間際は避ける: 始業直後や終業間際は、その日の準備や締めくくりで忙しいことが多いです。
- 可能であれば事前に確認する: 「〇〇の件で少しご相談したいのですが、今お時間よろしいでしょうか」のように、声をかける前に相手の状況を確認するのが丁寧です。
- 複数人への相談が必要な場合: 関係者が集まっている時や、後でまとめて質問できる機会(定例ミーティングなど)を利用するのも効率的です。
質問・相談の伝え方:正確かつ簡潔に
質問や相談の内容を分かりやすく伝えることは、スムーズな解決につながります。以下のポイントを意識しましょう。
- まずは挨拶と状況確認: 相手に声をかける際は、まず挨拶をし、今話しかけて良い状況かを確認します。
- 例:「〇〇さん、おはようございます。今少しお時間よろしいでしょうか。」
- 例:「〇〇さん、お疲れ様です。〇〇の件でご相談したいことがあるのですが、後ほど△△分ほどお時間をいただけますでしょうか。」
- 結論(何について)を最初に伝える: 何についての質問・相談なのかを最初に明確に伝えます。
- 例:「〇〇の資料の作り方についてお伺いしたいです。」
- 例:「来週の△△の件で、判断に迷っておりご相談させてください。」
- 背景・状況を簡潔に説明する: なぜ質問・相談が必要なのか、どのような状況で困っているのかを簡潔に説明します。長々と話すのではなく、要点を押さえましょう。
- 例:「△△のタスクを進めているのですが、この部分のデータ入力方法がマニュアルだけでは分かりませんでした。」
- 例:「□□様からの依頼で〇〇を作成しているのですが、A案とB案のどちらで進めるべきか判断が難しく、〇〇さんのご意見を伺いたいです。」
- 自分で試したこと・考えたことを伝える: 自分でどこまで取り組み、どのような解決策を考えたのかを伝えます。これにより、「何も考えずに聞いているわけではない」という姿勢を示すことができます。
- 例:「マニュアルのP.〇〇を読んだのですが理解できず、△△の方法を試してみたのですがエラーが出てしまいました。」
- 例:「私としてはA案が良いかと思ったのですが、懸念点として△△があり、判断しかねています。」
- 具体的に何を知りたいか・どうしてほしいかを伝える: 曖昧な質問ではなく、具体的に何について教えてほしいのか、どのようなアドバイスや判断を求めているのかを明確に伝えます。
- 例:「この部分の具体的な操作手順を教えていただけますでしょうか。」
- 例:「A案とB案であれば、どちらの方法で進めるべきか、ご指示をいただけますでしょうか。」
- 例:「△△について、〇〇さんの経験に基づいたアドバイスをいただけないでしょうか。」
具体的な場面別の会話例
場面1:作業方法が分からない場合(上司に質問)
- あなた: 「山田部長、今少しお時間よろしいでしょうか。」
- 上司: 「はい、どうぞ。」
- あなた: 「ありがとうございます。来週提出の企画書作成を進めているのですが、この資料のグラフの作成方法が分からず、ご教示いただきたく存じます。」
- 上司: 「グラフの作成方法ですね。」
- あなた: 「はい。自分でネットで検索したり、過去の資料を確認したりしたのですが、この形式のグラフを作成する方法が見つけられませんでした。特に、複数のデータをまとめて表示させる部分が分かりません。」
- 上司: 「なるほど。このグラフは少し特殊な形式ですね。では、一緒に画面を見ながら説明しましょうか。この機能を使って…」
- あなた: 「ありがとうございます。大変助かります。」
場面2:複数の選択肢で迷っている場合(先輩に相談)
- あなた: 「佐藤先輩、お疲れ様です。△△社の件でご相談したいことがあるのですが、お手隙でしょうか。」
- 先輩: 「はい、大丈夫です。何でしょうか。」
- あなた: 「ありがとうございます。△△社様にお送りする提案書について、価格プランをAプランとBプランのどちらを提示すべきか判断に迷っております。」
- 先輩: 「ほう、迷っているんですね。」
- あなた: 「はい。お客様の要望としてはAプランが近いのですが、予算を考えるとBプランの方が受け入れられやすいかもしれません。私としては、まずは要望通りのAプランを提示し、反応を見てからBプランを検討するのが良いかと思ったのですが、先輩のご経験から、どのように進めるのが一般的か、ご意見をいただけますでしょうか。」
- 先輩: 「なるほど。〇〇さんの考えも分かります。このケースでは、△△社の過去の取引傾向も考慮すると、Bプランから入る方がスムーズかもしれませんね。理由は…」
- あなた: 「ありがとうございます。Bプランから検討してみます。」
質問・相談後の対応:感謝を伝え、次に活かす
質問や相談で教えてもらったことに対しては、必ず感謝の気持ちを伝えましょう。また、教えてもらった内容をメモするなどして記録しておき、次回同じことで迷わないように努めることが大切です。
質問や相談の後に、その結果どうなったかを報告するのも良い習慣です。例えば、「教えていただいた方法で無事グラフが完成しました」「先輩にご相談した通り、Bプランで提案を進めることにしました」のように伝えることで、相手は「相談に乗ってよかったな」と感じ、今後のコミュニケーションも円滑になります。
よくある質問
- 簡単なことでも質問して良いのでしょうか? 自分で調べたり考えたりした上で分からない場合は、遠慮なく質問して良いと考えられます。特に、業務の根幹に関わる部分や、少しでも不安がある場合は、確認せずに進めるよりも質問した方が安全です。ただし、まずは自分で調べる努力は必要です。
- 忙しそうな相手にどう声をかければ良いですか? 「お忙しいところ恐縮ですが」「今、〇〇分ほどお時間を頂戴できますでしょうか」のように、相手の状況を気遣う言葉を添えて声をかけるのが丁寧です。すぐに時間が取れないようであれば、「後ほど改めて伺ってもよろしいでしょうか」「〇〇さんがお手隙になるのはいつ頃でしょうか」のように確認し、無理強いしない姿勢を見せることが大切です。メールやチャットで事前に「〇〇についてご相談したいことがあるのですが、いつ頃お話できますでしょうか」とアポイントを取るのも有効です。
- 一度聞いたことを忘れてしまってもう一度聞きたい場合は? 正直に「以前教えていただいたのですが、申し訳ございません、忘れてしまいましたので、もう一度教えていただけますでしょうか」と伝えるのが良いでしょう。ただし、同じことを何度も聞かないように、教えてもらった内容はすぐにメモを取り、次回以降はそれを見返して自己解決できるよう努めることが非常に重要です。努力している姿勢を見せることで、相手も快く教えてくれるでしょう。
- メールやチャットで質問・相談しても良いですか? はい、内容によってはメールやチャットも有効な手段です。特に、すぐに返答が必要ない内容や、情報共有を兼ねたい場合、記録として残しておきたい場合などに適しています。ただし、緊急性が高い内容や、口頭で説明した方が早い複雑な内容の場合は、対面や電話で相談する方が効率的です。状況に応じて使い分けましょう。メールやチャットの場合も、用件を先に書き、背景、自分で考えたこと、具体的な質問内容を簡潔に記述することが重要です。
まとめ
新社会人にとって、質問や相談は成長のための大切な一歩です。分からないことや判断に迷うことがあれば、一人で抱え込まず、積極的に周囲に助けを求めましょう。
適切なタイミングを選び、自分で考えたことを伝えた上で、具体的に何を知りたいのかを明確に伝えることが、スムーズなコミュニケーションにつながります。そして、教えてもらったことには感謝し、次に活かす姿勢を持つことが重要です。
質問や相談を重ねる中で、少しずつ業務への理解が深まり、自信を持って仕事に取り組めるようになるはずです。