これで自信がつく!新社会人のための「自分ならこう考えます」を伝える報連相
新社会人にとって、上司からの指示に対して「分かりました」と答えること、完了したら「終わりました」と報告すること、分からないことがあれば「教えてください」と相談することは基本的な報連相です。しかし、業務に慣れてくると、ただ事実を伝えるだけでなく、「自分ならこう考えます」「このように進めてはどうか」といった意見や提案を報連相に添える場面が出てくるかもしれません。
自分の意見を伝えることには、「生意気に思われないか」「的外れだったらどうしよう」といった不安を感じることもあります。しかし、適切に意見や提案を伝えることは、業務をよりスムーズに進めたり、より良い成果につなげたりするために重要です。また、自身の主体性や貢献意欲を示すことにもつながります。
ここでは、新社会人が自信を持って報連相に意見や提案を含めるためのステップと、具体的な伝え方について解説します。
なぜ報連相に意見や提案を含めるのか
報連相に自分の意見や提案を含めることには、いくつかの目的があります。
- 上司の判断を助ける: 状況報告に加えて、自分なりに考えた解決策や選択肢を提示することで、上司が判断を下す際の材料を提供できます。
- 議論を深める: 自分の考えを共有することで、チーム内でより多角的な視点からの議論が生まれ、課題解決や意思決定の質が高まる可能性があります。
- より良い結果につながる: 現場で気づいたことや、自分なりに考えた改善策を提案することで、業務プロセスや成果物の質を高める貢献ができます。
- 主体性を示す: 指示を待つだけでなく、自分自身で考え、提案する姿勢は、業務に対する積極性や責任感を示すことにつながります。
意見・提案を含む報連相のステップ
報連相に意見や提案を含める際には、以下のステップで準備と実行を進めることが有効です。
ステップ1:事実と意見・提案を明確に分ける
まず大前提として、客観的な事実と、それに対する自分の主観的な意見や提案を明確に区別して伝えることが重要です。
- 事実: 誰が見ても同じように認識できる、客観的な情報です。「〇〇の件で、現在△△という状況です」「この資料のデータは□□となっています」などがこれにあたります。
- 意見・提案: 事実に基づいて、自分がどのように考えたか、どうしたいか、どうすべきだと思うかという主観的な判断や考え、行動案です。「△△という状況ですので、私は◎◎が良いと考えます」「□□というデータなので、◇◇の施策を提案します」などがこれにあたります。
これらを混同して伝えてしまうと、報告内容が曖昧になったり、上司が事実と意見の区別をつけられずに混乱したりする原因になります。
ステップ2:意見や提案の根拠を準備する
意見や提案には、それを裏付ける理由や根拠があると説得力が増します。なぜそう考えたのか、その提案によってどのようなメリットがあるのかなどを、具体的に説明できるように準備しましょう。
根拠としては、以下のようなものが考えられます。
- 業務の目的や背景
- 過去の類似事例や経験
- 収集した情報やデータ
- 自分が実際に作業してみて気づいた点
- 想定されるリスクとその対策
ステップ3:伝えるタイミングと方法を選ぶ
意見や提案を伝える適切なタイミングや方法を選ぶことも重要です。
- 報告・連絡のついでに: 業務の進捗や結果を報告する際に、「加えて、この点についてはこのように考えました」と添える形です。まずは事実をしっかり報告し、その後で意見・提案を述べましょう。
- 相談として: まだ自分の考えが固まっていない場合や、上司の意見を仰ぎたい場合は、「この状況について、このように考えているのですが、いかがでしょうか」と相談形式で持ちかけることも有効です。
- 会議や打ち合わせで: 議題に関連する場合、発言の機会を捉えて意見や提案を共有します。事前に話す内容を整理しておくとスムーズです。
- 上司の状況に配慮する: 上司が非常に忙しそうな時は、長々と説明せず、「〇〇の件で、少しご相談(ご報告と意見)があります。お手すきの際で構いませんのでお時間をいただけますでしょうか」などと切り出し、改めて時間を取ってもらう配慮も大切です。
ステップ4:丁寧かつ謙虚な言葉遣いを心がける
意見や提案を伝える際には、丁寧な言葉遣いと謙虚な姿勢が非常に重要です。「こうするべきです」「絶対にこれが良いです」のような断定的な強い言い方は避けましょう。
以下のようなフレーズを参考に、柔らかく伝えることが一般的です。
- 「現状は〇〇ですが、△△と考えております。」
- 「□□という状況ですので、◎◎を提案させていただきたいのですが、いかがでしょうか。」
- 「私の考えでは、この点については◇◇の方向性も考えられるかと存じます。」
- 「もしよろしければ、拙い考えではございますが、少しご意見を申し上げてもよろしいでしょうか。」
自分の意見はあくまで「一つの考え」として提示し、最終的な判断は上司やチームに委ねる、というスタンスを示すことが大切です。
具体的な会話例
事例1:進捗報告に改善提案を添える場合
- 状況: 担当している資料作成で、ある作業に想定より時間がかかっている。原因は特定できた。
- 報連相:
- 自分: 部長、〇〇資料の作成の進捗をご報告いたします。現在、データ集計の作業が〇〇%まで完了しております。
- 上司: ご苦労様です。予定通りに進んでいますか。
- 自分: 集計作業の一部で、想定よりも時間を要しており、当初の予定より少し遅れる可能性が出てきております。原因は、特定のデータ形式の変換に手間取っているためと判明いたしました。
- 上司: なるほど。何か対策はありますか。
- 自分: はい。このデータ形式の変換につきまして、手作業ですと時間がかかるため、簡単なスクリプトを作成して自動化できないかと考えました。もし可能であれば、本日中にスクリプトを試してみて、集計作業全体の効率化を図りたいのですが、いかがでしょうか。
- 上司: スクリプト化、良いアイデアですね。ぜひ試してみてください。進捗はまた適宜報告してください。
- 自分: かしこまりました。ありがとうございます。
事例2:問題発生報告に解決案を添える場合
- 状況: 担当している業務で、顧客からの問い合わせに対応する際、想定外のエラーが発生した。
- 報連相:
- 自分: 〇〇の件でご報告がございます。先ほど、△△様からのお問い合わせに対応していた際に、××というエラーが発生いたしました。現在、お客様にはお待ちいただいております。
- 上司: エラーですか。原因は何でしょう。
- 自分: システムの特定の操作を行った際に発生したエラーで、過去の事例を調べたところ、□□が原因の可能性が高いと分かりました。
- 上司: そうですか。復旧の見込みはありますか。
- 自分: はい。考えられる対策としましては、一つはシステム担当に連携して根本原因の調査と対応をお願いする方法、もう一つは、今回は応急処置として、影響のない別の方法で代替対応を行う方法が考えられます。お客様をお待たせしているため、まずは代替対応で一時的に状況を回復させ、並行してシステム担当に調査を依頼するのが迅速かと私は考えたのですが、どのように進めるべきでしょうか。
- 上司: 状況は理解しました。お客様対応を優先しましょう。代替対応を進めてください。システム担当への連携もお願いします。
- 自分: かしこまりました。直ちに対応いたします。
事例3:依頼内容について代替案を提案する場合
- 状況: 上司から特定の資料作成を依頼されたが、別の形式の方が、より受け手にとって分かりやすいのではないかと考えた。
- 報連相:
- 自分: 部長、先ほどご指示いただきました〇〇資料の作成について、ご相談がございます。
- 上司: はい、何でしょう。
- 自分: 資料の件、承知いたしました。作成を進めるにあたり、一点よろしいでしょうか。今回の資料は△△の目的で◇◇部署の方々がご覧になると伺っております。
- 上司: ええ、そうです。
- 自分: ありがとうございます。その目的と対象の方々を考えますと、ご指示いただいた形式(××形式)も分かりやすいかと存じますが、図解などを多く用いた別の形式(◎◎形式)の方が、視覚的に情報が整理され、より内容が伝わりやすくなるのではないかと考えたのですが、いかがでしょうか。もし可能であれば、◎◎形式での作成を検討させていただくことはできますでしょうか。
- 上司: なるほど、目的を考えると確かに◎◎形式の方が適しているかもしれませんね。その形式で進めてみてください。
- 自分: ありがとうございます。では、◎◎形式で作成いたします。不明な点があれば、またご相談させてください。
- 上司: はい、お願いします。
よくある疑問
- 自分の意見に自信がないのですが、伝えても良いですか? 自信がなくても、「私の考えでは」「〇〇の可能性も考えられるかと思うのですが」のように、あくまで「一つの考え」として提示することは可能です。最初は小さな改善提案や、疑問に思ったことを深掘りした結果としての意見から始めてみるのも良いでしょう。完璧な意見である必要はありません。考えようとした姿勢が評価されることもあります。
- 生意気に思われないか心配です。 丁寧な言葉遣いを心がけ、「提案させていただけますでしょうか」「ご意見を伺いたく存じます」のように謙虚な姿勢を示すことが大切です。また、根拠をしっかり伝えることで、感情的な意見ではなく、論理的に考えた結果であることを示すことができます。目上の人に対する敬意を忘れなければ、多くの場合は成長意欲として受け止められます。
- いつ伝えれば良いですか? 報告や相談のタイミングが一般的です。業務の進捗を報告する際に、関連する意見や提案を添える。何か問題が発生した場合に、報告と合わせて解決策の案を提示する。新しいタスクを依頼された際に、不明点の確認と併せてより良い進め方について相談する、などです。上司が忙しい時間帯や、多くの人が聞いている場で伝えるのが不適切な場合は、改めて時間を設けてもらう配慮も必要です。
- もし自分の意見や提案が的外れだったらどうなりますか? 的外れであったとしても、適切に伝えられていれば、それで評価が大きく下がるということは少ないでしょう。「なるほど、そういう考え方もあるけれど、この場合は〇〇の方が良いですね」のように、上司からフィードバックをもらう機会になります。そのフィードバックから学び、次に活かすことができます。完璧な意見を出すことよりも、考え、伝えようとするプロセスが重要です。
まとめ
報連相に自分の意見や提案を含めることは、新社会人から一歩進んで、主体的に業務に関わるための重要なステップです。最初から完璧を目指す必要はありません。まずは、事実と意見を分け、なぜそう考えたのかの簡単な根拠を添えて、丁寧な言葉で伝えることから始めてみましょう。
上司は、皆さんが業務を理解し、自分自身で考え、成長していくことを期待しています。恐れすぎず、謙虚な姿勢で、ぜひ自分の考えを報連相に添えてみてください。それが、より良い仕事につながり、あなた自身の成長にもつながるはずです。