これで解決!新社会人のための質問・相談の事前準備ステップ
質問・相談の質を高める事前準備の重要性
新社会人の時期は、業務を進める上で分からないことや判断に迷う場面が多くあります。そういった際に上司や先輩に質問・相談することは、業務を正確に進め、自身の成長にもつながる非常に重要な報連相です。しかし、どのように質問・相談すれば良いか分からず、戸惑うこともあるかもしれません。
準備不足のまま質問すると、状況がうまく伝わらなかったり、必要な情報が漏れていて二度手間になったりすることがあります。これは自分だけでなく、相手の時間を余計に使わせてしまうことにもつながります。
質問や相談をする前に適切な準備を行うことで、コミュニケーションがスムーズになり、疑問点が的確に解消されやすくなります。また、自分で考え、調べた上で質問するという姿勢は、周囲からの信頼を得るためにも大切です。
この解説では、新社会人が質問・相談をスムーズに進めるために必要な事前準備のステップを具体的にご紹介します。
質問・相談の事前準備3ステップ
質問や相談をする前に、以下の3つのステップで頭の中を整理し、必要な情報を準備することをおすすめします。
ステップ1:現状と課題を整理する
まず、今どのような状況で、何に困っているのか、何が分からないのかを具体的に整理します。
- どのような業務のどの段階で困っているか:例えば、「〇〇という資料を作成している」「お客様からの△△という問い合わせに対応している」など、作業の内容や状況を明確にします。
- 具体的に何が問題か、何が不明か:「このデータの入力方法が分からない」「このお客様への返信内容に迷っている」「次のアクションが分からない」など、具体的な課題や疑問点を特定します。
- どこまで自分で調べたか、試したか:マニュアルを確認したか、過去の類似資料を参考にしたか、自分でこうではないかと考えたかなど、自力で取り組んだ範囲を伝えます。
自分で調べる、考えるというプロセスは、問題解決能力を高める上で非常に重要です。「自分でここまで考えたけれど、合っているか分からない」という状態での質問は、相手にも意欲が伝わります。
会話例・フレーズ例:
- 「現在、〇〇資料のデータ集計を行っております。△△の部分の数値について、複数の解釈が可能で判断に迷っております。」
- 「お客様からいただいた問い合わせについて、マニュアルのP.XXを参照しましたが、今回のケースに当てはまる記載が見当たりませんでした。」
- 「このタスクを進めるにあたり、AとBのどちらの方法で進めるべきか検討しました。現時点ではAが良いと考えているのですが、ご意見を伺えますでしょうか。」
ステップ2:聞きたいこと・教えてほしいことを明確にする
現状と課題が整理できたら、次に具体的に何を解決したいのか、相手に何をしてほしいのか(指示、判断、情報の提供など)を明確にします。
- 何についての判断や指示が必要か:「この数値の解釈について、どちらが正しいかご指示ください」「お客様への返信内容について、添付の通りで問題ないかご確認ください」など、相手にしてほしいアクションを具体的に伝えます。
- 具体的にどのような情報が必要か:「△△の進め方について、具体的な手順を教えていただけますでしょうか」「このツールの使い方について、特定の機能(〇〇機能)について知りたいです」など、必要な情報の種類を明確にします。
- 質問の意図や背景を伝える:なぜその質問をする必要があるのか、質問することで何が解決するのかといった背景を添えることで、相手はより的確なアドバイスをしやすくなります。
「なんとなく不安」「よく分からない」といった状態ではなく、「〜〜について、具体的に△△を教えてほしい」と明確に伝えることが大切です。
会話例・フレーズ例:
- 「ステップ1で申し上げた数値の件ですが、この数値をAとBのどちらとして扱うべきか、ご判断をお願いできますでしょうか。」
- 「マニュアルに記載がなかった問い合わせの件ですが、過去に同様の事例がないか、またはどのように対応すべきか、ご教示いただけますでしょうか。」
- 「検討したAとBの方法について、今回のケースではどちらの手法が適切か、ご意見を伺いたいです。その理由も簡単に教えていただけますと幸いです。」
ステップ3:質問・相談に必要な関連情報を揃える
質問や相談の内容を伝える際に、補足情報として役立つものを準備します。これにより、相手は状況を素早く把握し、的確な回答や指示をしやすくなります。
- 関連資料:作業中のファイル、参照したマニュアル、お客様からのメール、エラー画面のスクリーンショットなど、状況を示す資料や画面を準備します。
- 経緯や前提情報:その問題に至った経緯、関連する他の情報、期日などを簡単にまとめておきます。
- (可能であれば)自分の考えや仮説:自分で考えた解決策の案や、分からないなりにこうではないかと推測したことなどを添えると、質問の意図が伝わりやすくなります。
これらの情報は、質問・相談する手段(口頭、チャット、メールなど)に応じて、すぐに提示できるよう準備しておきます。例えば、メールで質問する場合は、関連資料を添付する、本文中に経緯を簡潔にまとめるなどが有効です。
会話例・フレーズ例:
- 「件の数値は、添付の資料(資料名:〇〇.xlsx)のSheet1、C列3行目の値です。」
- 「問い合わせいただいたお客様とのこれまでのやり取りは、このチャットログにまとめております。」
- 「エラーメッセージは、添付のスクリーンショットの通り『〇〇』と表示されます。このエラーについて、サポートサイトを確認したところ△△が原因とあったのですが、私の環境では△△に問題が見当たらず困っています。」
事前準備がもたらすメリット
これらの事前準備を行うことで、以下のようなメリットが期待できます。
- スムーズなコミュニケーション:状況や聞きたいことが明確に整理されているため、相手に内容が伝わりやすく、スムーズにやり取りが進みます。
- 相手の手間を減らす:自分で調べたり考えたりした過程や、必要な情報を揃えておくことで、相手が状況を把握したり、追加で確認したりする手間を減らすことができます。
- 質の高い回答を得られる:具体的な質問には、具体的な回答が得られやすくなります。漠然とした質問よりも的確なアドバイスを引き出せます。
- 自身の理解が深まる:質問内容を整理する過程で、何が分かっていて何が分からないのかが明確になり、自身の理解が深まります。
- 信頼を得る:自分で考え、調べた上で質問する姿勢は、主体的に業務に取り組んでいるという印象を与え、周囲からの信頼につながります。
よくある質問・相談の失敗と対策
新社会人が質問・相談で陥りがちな状況とその対策を知っておくことも有効です。
- 「何も分かりません」と伝える:
- 対策:何が分からないのか、具体的にどの部分で手が止まっているのかを明確にします。ステップ1のように、現状と不明点を具体的に整理する練習をします。
- 自分で調べずにすぐに聞く:
- 対策:まずマニュアル、過去資料、会社の情報共有ツールなどを自分で調べる習慣をつけます。調べても分からなかった点、調べた結果こう考えたということを添えて質問します。
- 状況説明が不十分で相手に伝わらない:
- 対策:いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように(5W1H)といった要素を意識して、状況を整理します。関連資料を準備し、必要に応じて提示できるようにします。
- 質問内容が曖昧で相手が困る:
- 対策:ステップ2のように、具体的に何を知りたいか、相手に何をしてもらいたいかを明確にします。「〜〜について教えてください」だけでなく、「〜〜について、△△という点についてご教示いただけますでしょうか」のように具体的にします。
まとめ
質問や相談は、業務を円滑に進め、成長するために不可欠な報連相です。特に新社会人のうちは、積極的に行うことが推奨されます。
しかし、ただ聞けば良いというわけではなく、事前にしっかりと準備を行うことで、より効果的な質問・相談が可能になります。現状の整理、聞きたいことの明確化、関連情報の準備という3つのステップは、質問・相談の質を飛躍的に高めるための基礎となります。
これらのステップを意識して日々の業務での質問・相談に取り組んでみてください。最初は難しく感じるかもしれませんが、実践を重ねるうちにスムーズにできるようになり、自信を持って報連相ができるようになるはずです。